ことばの遅れ
子供の発達については不安がいっぱいです。同年代の子供がしゃべっているのに自分の子はしゃべらないなど落ち込み、心配します。ただ、ことばが順調にしゃべれている場合はその子の知能の発育は順調ということは出来るのですが、逆に、ことばが遅い子供の場合は知能が遅れているということではありません。ことばの発達には個人差が大きく、知能などにまったく問題がなくてもことばの出現の遅い子がたくさんいます。今後、言葉をしゃべれるようになるかどうかのチェックをすることは必要ですが、その子その子でのことばの発達があります。ほかの子供と比較して、早い、遅いと一喜一憂しないで下さい。ゆっくり待ってあげて下さい。(難しい注文ですが)
1、ことばの理解とその発達
1)生後4か月頃には「ご機嫌な声」と「むずがる声」に分かれます。
あやせば笑う。話しかけると泣き止む(声を聞き分ける)
2)生後6か月頃から「バブバブ」「アウアウ」などの喃語(赤ちゃん言葉)が出だします。
赤ちゃん言葉「ブー:車」「クック:靴」「モン:ドラエモン」「パンマン:アンパンマン」
赤ちゃんでは口腔内のスペースの割りに舌が大きく、舌が動きにくいという特徴があり、しゃべりにくい音があります。その後の口腔内の発育につれて舌の動きがスムースになり、スムースな発音になってきます。
3)2歳頃には指差が出来るようになります:「あれ」「あっち」「お口」
2、言葉の発達の基準
1歳のお誕生日頃に「バイバイ」と手を振ってくれる子は多いですが、「バイバイ」という言葉は出ません。理解していてもしゃべるまでには時間がかかります。(個人差が大きい)
一般的な基準では
1)1歳では25%の子供がまだ単語1つ(ママ、パパなど)を言えません。
2)1歳6か月の100人中98人が単語を2個しべれます(まだしゃべれない子もいます)。
3)2歳の誕生日頃では50%の子供が2語文(ママ スキ、パパ アッチなど)をしゃべれません。
4)3歳になればほとんどの子は2語文をしゃべれてます。
3、問題点、チェックすべきこと
1)知能の遅れ
言葉が理解できなければことはしゃべれません
2)耳が聞こえない(早期から補聴器を使用する必要があります)
言葉が聞こえなければしゃべれません。呼びかけや音に反応しない、音にびっくりしない。音の方を向かないでチェックできます。心配であれば耳鼻科で聴力検査をしてくれます。
3)言語理解が可能
大人の言うことがわかっているか。「パパ」でパパの方を向く。「ジイ」でおじいさん
4)発声が可能
声が出る。
5)模倣できる
大人のまねをする。(行動や言葉は模倣から始まります)
6)対人関係が良好
遊んでもらったり、話しかけてもらうのが好きかどうか。
4、親の対応
1、1対1のほうが言葉の発育が良い
テレビでは言葉は一方的に来るため、聞き流す場合もありますし、積極的に話しかける機会が減る可能性があります。テレビは色々な面で有用ですが、顔を見て話す機会を多くして下さい。
2、保育園などの集団の中では言葉は出てきやすい。集団生活を積極的にさせて下さい。
1)子供同士の集団の中では他人の気を引こうとしますし、まねをします。他人の気を引く言葉が出てきます。
2)悪い言葉はすぐ覚えます。「バカ」「アホ」など:大人が反応するからうれしくて繰り返します。
3)家の中のみでは発達しにくい:大人と子供ではやはり限界があります。積極的に子供どうしで遊ばせるようにして下さい。
3、なるべく子供に話しかけるようにして下さい。
子供と同じ目線で。なるべく「おはよう」「おやすみ」「寒いね」「お外に行こうね」「ごはんだよ」「痛かったね」「パトカー」「ワンワンだ」「ブーブー(車)」など子供に合った言葉で出来るだけゆっくり話しかけをしてあげて下さい。
4、しゃべることを強制したり、何度も言い直させないで下さい。
あせらされるとどもるようになりますし、何度も言い直させられるといやになります。自信もなくなります。発達はゆっくりです。
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子どもの癖
子どもの癖には色々ありますが、問題となるものに、指しゃぶり、爪噛み、チックなどがあります。親としては気になりますが、幼児期では「まずは放置」が原則です。
1、指しゃぶり
赤ちゃんには乳首が唇に触れると吸い付くという本能があります。この本能による行動をうまく子育てに利用しようとする道具が「おしゃぶり」です。何か吸っていると安心するのかもしれません。世界中におしゃぶりは昔からあります。指を吸うのはおしゃぶりの代わりです。おしゃぶりは本能に基づくもので、子どもをあやす知恵です。子どもの心の安定は良いことですので無理に止めなければならないことではないと思います。
腕を自由に動かせるようになる生後2、3か月から指しゃぶりが始まり、生後6か月ごろには良く指をしゃぶるようになります。1歳代の子どもでは約半数、6歳で約10%と年齢と共に減少してゆきます。幼児期になって行動範囲が広くなり、興味を引かれることが多くなり、また手を使う機会が多くなれば指しゃぶりは減少してゆきます。無理に止めても止まりません。手指の使う遊びをする。自制力をつけさせる。寝るときに指をしゃぶる子が多いのですが、この場合は一緒に寝て手を握ってあげるなどで対応して下さい。
原因としては子どもの情緒の問題として不安、不満に基づく欲求不満という考え方と、乳児期の生理的な指しゃぶりが学習され習慣となり単なる癖として残っているという考え方があります。
3歳頃までの指しゃぶりでは乳歯の咬み合わせが多少悪くなっても永久歯は正常ですが、4歳以上になると顎の骨格にも影響を及ぼし、永久歯に咬み合わせの不整をおこさせる可能性が出てきます。しかし、指しゃぶりは絶対止めなければならない癖ではありません。特に、年齢が大きな子の場合は不安や緊張を解消する精神的な自己防衛の1つかもしれないということへの考慮も必要です。ただ、5歳以上になると自然に止まる可能性は少なくなります。年齢が大きくなっても減少傾向が見られなければ、歯科のチェックを受けさせて下さい。指しゃぶりによる悪影響があれば本人にそれを理解してもらい、自分で減らす努力をしてもらって下さい。
色とりどりで、ファッション性の強い「おしゃぶり」がヒモ付きで売られるようになり、使用している子どもを見かける機会が多くなりました。赤ちゃんは吸うという本能による欲求が満たされるために静かになりますし、指しゃぶりよりも止めやすい、歯並びにも影響が少ないという点で多用されているのではと推測されますが、言葉を話す機会が少なくなるなどマイナスの面も否定できません。道具をうまく使って無理のない、楽しい子育てをすることは良いことですが、年齢が大きくなるにつれ、歯並びにも影響する可能性はありますので、歯科的に影響が出ている場合は止めさせる努力が必要です。
2、爪噛み
爪を切る必要のない程の深爪が特徴です。精神的な不安や緊張を解消する手段の1つとして行うことが多いと言われています。1歳では1%、6歳で約10%、学童期は20〜30%の子が爪を噛んでいるといわれます。子どもが不安に思っていることはないか、窮屈に思っていることはないか考えてあげて下さい。
軽度の場合はとめる必要はありませんが、深爪で、指先に傷が出来るほどのものは困ります。子どもと爪噛みによる指への影響について話をする必要があります。特に、学童期になると爪噛みは固定化しますので、本人が理解して、自発的になくそうとしない限り止りません。
3、チック
頻回にまばたきをする、肩をピクピクさせるなど、意味のない動作が無意識に繰り返し出現する症状をいいます。咳払いを繰り返す、「ウッ」「チェ」などの言葉が出る音声チックもあります。7〜11歳頃に多く、男児に多いとされています。チックを経験している子どもは10〜20%とされ、生まれつき生じやすい子が、不安や緊張、欲求不満など心理的ストレスが引き金となり出現する可能性が指摘されています。自分の意志で短時間は止めることは可能ですが、長時間を止めさせる絶対的な方法はありません。無意識でやっており、緊張でよけいに出現しますので、無理にチックを指摘して止めさせようとすると、意識がそちらのほうに向き余計に起こるという悪循環に陥る可能性もあります。カウンセリングや薬物療法もありますが、干渉しなければ自然に治ることも多く、あせらず、子どもの気分を発散させて緊張感を取り除くことを心がけて下さい。
かつては対人関係や親子関係における心理的葛藤が問題視されて、心理療法や精神療法が治療として行われていました。しかし、重症のチックを発症する家系(トゥーレット症候群:運動性のチックと音声のチックの両方が現れる遺伝的な疾患で、症状は強くなったり、弱くなったりして1年以上続きます。症状には強弱がありますが、症状が重い場合は生活に支障をきたします。)があることが知られるようになり、最近ではチックの原因として、脳の遺伝的な機能的障害が疑われています。神経伝達物質の過活動によって、運動や知覚機能への働きかけがうまくいかなくなり、症状が出るという考えです。チックの出やすさは生まれつきの脳の仕組みによって決まっている可能性があります。ただ、チックは心理状態に影響を受け、本人が止めようとするとよけいに増強したり、精神的な緊張でも増強します。生まれつき持っている要素に脳の緊張がプラスされチックが出現する可能性がありますので、身の回りの取り除けるストレスは取り除き、チックを出にくくすることは大切です。
チックの種類は運動性チックと音声チックに分けられます。
1)運動性チック
顔面のチックはまばたきが最も多く、口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動き、頸部では頭をねじる、前屈や後屈、1回転させるなど、肩はピクッとさせたり、すぼめる、手足ではピクッとさせる、くねらせる、手を振る、蹴る、スキップなどです。
2)音声チック
音声チックでは咳払いがもっとも多く、ブツブツ言う、鼻を鳴らす、うなる、意味不明な言葉、同じ音や言葉を繰り返す、叫び声、汚言(バカ、死ねなど)などがみられます。運動性チックよりも周囲の注目を集めてしまい、外出がしにくくなることが問題になります。
3)経過および注意点
チックは何もしなくても、多くの場合1年以内には消失します。長く続く場合でも多くは思春期後半までに消失するか、残っても軽い動きの目立たない軽度の動きのチックにまで症状が落ち着くようになります。また、たとえ残ったとしても、大人のチックは家以外や、仕事のときなどには消えることが多いといわれっています。チックは止めようとすると緊張してかえって増強することが多いので、無理に止めないことが大切です。また、学校や家庭での明らかな心理的ストレスや不安があれば取り除き、本人を取り巻く環境に対する配慮も必要です。叱らない、注意しない、話題にしないが大切です。
チックは本人、家族および周囲の人にその症状を理解してもらい、チックを気にせず、日常生活が円滑に行えるようにすることが大切です。一般的には薬での治療の対象とはなりませんが、学校や家庭での日常生活が障害される場合には薬物療法が行われます。
4、頭をぶつけ続ける
頭を壁や床にぶつけ続ける乳幼児がいます。欲求を上手に言葉で表現できないための代わりの表現と考えられています。欲求が満たされないと起こすことが多いといわれています。怪我をすることはまずありませんが、怪我をするような状況は避けるようにして下さい。抱きしめてあげる。気持ちを他のものに向けさせるなど考えて下さい。だからといって、甘やかしてしまうのは困ります。ダメときはダメというけじめが必要です。別に気持ちのはけ口を作ってあげて下さい。
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子どもの誤飲事故
こどもが危険性のある物を食べてしまう事故は、何にでも手を出してつかみ、それを口に入れる生後5か月頃から出現し、はいはいするようになる8か月頃から多くなりだして2歳頃まで続きます。畳に直に物を置く習慣が大きな原因といわれます。生後5か月頃から赤ちゃんは色々な物を拾いますし、手に触れるものは何でも口に持っていくということを念頭に入れて子育てする必要があります。口に入るような小さな物や口に持っていっては困るものを子供の手の届くところに置かないようにすることを心がければ事故は防げます。
1、誤飲事故が生じた場合の基本的な家庭での処置
食べた物によって細かい処置は異なりますが、基本的なことは
@口の中に残っている場合は、両方の頬を押さえて口を開かせてから指でかき出します。A食道内で留まるのは困りますが、胃の中に入ってしまえば、ほぼ2日以内に便に出てきます。B食べた物を吐かして出させます。口の中に指を入れ、舌の後方を押せば吐きます。吐きにくいときは牛乳(異物の胃への刺激を緩和する)や水を飲ませて吐かせます。ただ、吐かせてはいけない物(揮発性に物や酸やアルカリ性の強い物)がありますし、牛乳を飲ませてはいけない物(脂溶性の物は吸収が早くなり危険)があります。C揮発性の高い化粧品やガソリン、灯油などは吐かせてはいけません。数日後に肺炎をおこす可能性があります。小児科専門医を受診して下さい。また、D酸やアルカリ性の強い漂白剤やトイレなどの洗浄剤などは吐かせると口腔内や食道の粘膜をよけいに傷つけます。牛乳を飲ませて希釈してから小児科専門医を受診して下さい。E食べた物やそのかけら、その名前や成分、食べた量がわかる物(箱やラベル)を持って小児科専門医を受診して下さい。場合によっては胃洗浄(胃の中を洗って飲み込んだものを出す)が必要となります。時間がたてば体内に吸収される量が多くなります。受診はなるべく早くお願いします。
食べた内容をインターネットで調べるか日本中毒情報センター(中毒110番)や病院で聞いてみてください。
2、具体例
1)タバコ
小児はタバコ1本が致死量です。嘔吐や顔面蒼白などの症状が30分から4時間以内に出ます。タバコを食べると嘔吐がその症状として出ますので重篤になることは少ないのですが、たくさん食べている場合は胃洗浄(胃の中を洗います)が必要です。小児科専門医を受診して下さい。タバコが浸かっていた水を飲んだ時は15分以内に急激な症状が出ます。ジュースの空き缶などを灰皿代わりに使用しないようにして下さい。
2)防虫剤
最近は、ほとんどが危険性の少ないパラジクロルベンゼンです。10kgの子供で2個が致死量といわれています。なめたりかけらを食べた程度では大丈夫です。症状としては嘔吐、腹痛です。この場合は牛乳を飲ませると、パラジクロルベンゼンは脂溶性のため余計に吸収が早くなりますのでやめて下さい。
3)乾燥剤
@シリカゲル
お菓子などについている乾燥剤です。吸収されませんので大丈夫です。
A生石灰(せんべいや海苔についています)
成人の致死量は10gです。水と化学反応して火傷をします。嘔吐させてはだめです。牛乳を飲ませます。
4)芳香剤
アルコールを少し含むことが多いですが、固形やゲル状の物は多量でないと大丈夫です。
5)ゴキブリ団子
ホウ酸が含まれています。乳児での致死量は2〜3gといわれています。市販されているものは含まれている量が少ないものが多い。
6)蚊取りマット
1、2枚程度では大丈夫です。液体蚊取りのビンはボトルが開かないので飲めません、舐めるだけですので大丈夫です。
7)クレヨン、水性絵の具
1本程度では大丈夫です。
8)食器用洗剤
多量でないと大丈夫です。
9)石鹸、シャンプー
少量であれば大丈夫です。症状は嘔吐、腹痛、下痢です。
10)化粧水、ヘアートニック
一口程度の少量では大丈夫です。エタノールが入っていますのでお酒を飲んだような症状が出ます。
11)ボタン電池
食道に留まっている場合や胃の中でも1ヵ所に長時間停滞した場合に組織を腐食して穴をあけます。水銀電池が最も短くて胃内で4時間までといわれます。腸内に入れば大丈夫です。食事を取らせたり、下剤を飲ませたりして早く出させます。
12)ピーナツ
肺に入れば咳が長期間(数か月以上)続きます。3歳以下の子供にはピーナツを与えないで下さい。
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子どもの食欲不振
子供は栄養のバランスや「今、食べておかなければ仕事中にお腹が空いて仕事にならない」、「今、お菓子を食べればお腹いっぱいになって夕ご飯が食べれない」など大人みたいな考えはしません。食べたいときに食べ、食べたくなければ食べません。身体の欲求に従って食べ、食べられなくて力が出なければ、寝て体力の消耗を防ぐというのが動物の本能です。朝、昼、夕と3度の食事を摂らなければならないわけではありません。しかし、本能のまま動く子供たちでも、保育園、幼稚園、学校が朝からあります。朝食を食べなければ朝は元気が出ません。昼から元気に遊ぶためには昼食が必要です。夕食を食べなければお腹が空いて眠れません。遊んだり、勉強したりするためには食事は重要です。まして、子供は身体が成長しなければなりません。短期間の食欲不振は問題ないのですが、持続する食欲不振は困ります。
原因として考えられるのは、貧血、食中毒、精神的、自律神経の異常などの食欲中枢を介するものと、口内炎、虫歯、気管支喘息、頭痛、発熱、腹痛、嘔気・嘔吐などの摂食障害があります。夏の暑いときにも食欲がなくなります。お菓子やジュースなど間食が増えると高カロリーのために満腹感が出て、食欲が低下することもあります。ダラダラ食べたり、飲んだりは避けて、時間を決めて、間食やジュースを与えてください。無理に食べさせようとしたり、愛情不足でも食欲がなくなることがあります。アレルギーのある食物では口の中が痒く感じたり嘔気を伴う場合もあります。見た目や以前に食べた時の不快な印象のある食物、食べたことの無い食物も食が進みません。
子供の年齢に応じた調理形態の食べ物を与えて下さい。見た目がおいしそうである、楽しく食事ができる、食事の雰囲気が良い、家族関係が良い、食べ物の色彩がきれいである、良い匂いがする等の場合は、食欲が増進します。あまり食欲がないときでも、友達と一緒に食べる、弁当形式にして雰囲気を変える、外食してみる、周囲でおいしそうに食べてまねさせる等、工夫することにより子どもの食欲が増進することがあります。無理のない範囲でいろいろ試して下さい。食事時刻や、就寝・起床時刻はだいたい決めて、一日の生活リズムを整えることも試して下さい。
家の中で遊ぶだけでは、どうしても運動不足になりがちです。子どもを外に連れ出し、元気に運動させながら遊ばせましょう。運動するとお腹が空いて食欲が増します。
子供の身体増加は常に一定とは限りません。赤ちゃんのとき以外は身体増加の良い時期と不良の時期があります。身体の増加の良い時期は栄養必要量が増し、食欲も増加しますが、身体の増加の不良の時期では栄養必要量が少なくて済みますので食欲も不良になります。食欲不振のみでなく、発熱や嘔吐など明らかに他の症状を伴う場合、体重増加不良、顔色が悪い、疲れやすい等の場合は小児科専門医を受診して下さい。逆に、身長や体重が標準的に伸びており、元気で活発であれば、栄養としては十分摂取出来ているので心配いりません。親がこの子はあまり食べてくれないと思っているだけかもしれません。年齢に対する身長・体重の標準曲線は母子手帳に記載されていますし、小児科医院には詳しいのがあります。心配であれば、今までの身長と体重をグラフに表して下さい。安心できます。
@ 子どもが食べたくないときに、無理に食べさせようとすると、かえって食事に対する悪いイメージを子どもに与えてしまいます。遊び食いを始めたり、口の中に食べ物を入れたまま飲み込まない時は、「ごちそうさま」をして、次の食事、またはおやつの時まで、食べ物をあげないようにして下さい。空腹感を子どもに感じさせることも大切です。
A 食事やおやつは、だいたい時間を決めてあげて下さい。だらだら食べていると食事の時にお腹が空きません。
B子どもは辛い食べ物、刺激の強い食べ物、味付けの濃い食べ物、また硬くて噛めない食べ物、舌触りが悪い食べ物などは嫌がることが多く、余り辛くない、薄味の、適度な硬さの食べ物を心がけて下さい。また、見た感じをおいしそうに盛りつけると食べてくれることもあります。素材の味を大切にする事は必要ですが、食欲不振と感じる場合はスープストックや調味料で味を付けて、その子の好む味付も考えて下さい。
C なるべく外で元気に遊ばせると、運動量が多くなり、お腹が空きます。
D 暑いときは、大人も子どもも食欲がなくなります。あっさりとした食事であれば食べれる場合もあります。
E口内炎や風邪でのどが痛くなっても食べやすいのは、ヨーグルトやプリン、ゼリー、うどんなどのツルンとしたもの。病気の間は食べられるものを食べていれば大丈夫です。数日であれば、イオン飲料水だけでも大丈夫と思います。
F離乳食の場合は、親が食べさせようとしても食べてくれませんが、自分でスプーンや手づかみであれば食べてくれる場合もあります。周囲や床が汚れますが我慢です。
一時的な食欲不振はよくあります。食欲にムラはあって当然です。元気で遊んでいるなら心配ありません。
野菜が嫌い、魚が嫌いなど食物の好き嫌いはどの子供にもあります。無理に食べさせると嘔吐したり、食べ終わるまで1時間以上かかる、泣きわめくなど大変です。好き嫌いを無くすため、離乳食の頃から色々な食材を食べさせて、色々な食材に慣れさせて好き嫌いを無くす努力は必要と思いますが、嫌いな食物が出来てしまったのは仕方がありませんので、ゆっくり改善して行くしかありません。子供に栄養のバランスや「給食の時に困るよ」などと言っても現実が理解できない子供には当然理解出来るわけはありません。小学生頃になると、多少の辛い物や刺激の強い物、硬い物でも徐々にですが食べれるようになってきますし、親がなぜ好き嫌いを無くそうとしてくれているのかが理解できるようになってきます。ゆっくり進めて下さい。
野菜が嫌いな子が多いのですが、お好み焼きが食べてくれるのであれば、野菜を多く入れたお好み焼きを副食(おかず)の1つにしてみる。細かく刻んだ野菜を多くしたハンバーグを作るなどの工夫や野菜ジュースなども利用すべきと思います。多少栄養のバランスが悪くても子供は元気に育ちます。あまり神経質になる必要は無いと思います。保育園や幼稚園、学校の給食では子供は我慢して食べてくれます。栄養バランスは数日単位で考えれば良い事であって、1食1食で考える必要はありません。代替となる食品もたくさんあります。うまく使ってください。ただ、食物アレルギーで嫌いになっている食物には注意する必要があります。嘔吐や皮膚に発疹などの症状が伴う食物はとりあえず与えるのは中止して、小児科専門医に相談して下さい。少量ずつ食べさせて食物アレルギーを治すという方法があります。ただ、特別なことをしなくても、自然に、年齢が大きくなるにつれて、かなりの食物が食べれるようになります。ゆっくり構えてあげて下さい。
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子どもの健やかな眠りと目覚め
ヒトは昼間に使用した脳や身体の疲れを癒すために眠ります。脳や身体を休息させ、機能を調節するために睡眠は不可欠です。
ヒトの自律神経では夜になると副交感神経が主体になり、心臓の動きを抑えて血圧を下げ、お腹を動かして便を肛門に送ります。目覚めると交感神経が活発になり、血圧が上がり脳や筋肉に行く血流が多くなり、活動に備えます。こういった睡眠・覚醒、体温、ホルモン分泌、自律神経が1日の周期で変動しており体内時計と表現します。脳内にある体内時計は約25時間周期で動いており、地球自転周期の1日の24時間より少し長いといわれています。体内時計の25時間をヒトの生活の24時間に合わさなければ体調が徐々に崩れていくことになります。脳が体内時計を24時間周期の地球に合わせるためには、朝に光をあびることが重要だとされています。夜更かし、朝寝坊をしていては体内時計と実際の時間とのずれを修正できません。逆に、夜の光は体内時計の周期を伸ばす可能性すらあります。早寝早起きが元気な子を作ります。
睡眠・覚醒に関係する物質やホルモン、睡眠中に分泌が活発化するホルモンがあります。特に、睡眠中に多く分泌される成長ホルモンは骨を伸ばして身体の成長を促進し、筋肉を増強し、痛んだ組織の修復や脂肪分解も行います。このホルモンの分泌が少ないと低身長になります。「寝る子は育つ」です。
メラトニンは夕方になって目に入る光の量が減ると分泌され始め、夜には分泌量が増え午前2時頃に分泌量がピークになります。このホルモンは眠気を催す作用があります。朝に向かってだんだんとメラトニンが減少し、覚醒に近づきます。1歳から5歳の間に多く分泌され思春期には少なくなりますが、老人ではメラトニン分泌の減少は著しく、老人は朝の目覚めが早く、夜中に何度も目が覚めるようになるといわれています。夜に明るい所にいると分泌が抑えられます。その他、メラトニンには抗酸化作用、老化や発癌の防止、生体リズムの調節、性成熟の抑制作用などもあります。
朝の太陽の光に刺激され、目覚めと共に分泌が始まるセロトニンが脳内に増えると鎮静作用によって精神状態が落ち着き、不安や恐怖の感情を抑え、イライラしなくなり、穏やかな気分にしてくれるといわれていますし、食後の満腹感や充実感を得ることが出来、身体の色々な機能が活発化して基礎代謝が上がるとも言われています。逆に脳内にセロトニンが不足すると不安緊張が誘導され、不眠状態に陥りますし、感情にブレーキがかかり難くなったり、すぐ平常心をなくす「切れ易い」精神状態、マイナス思考の状態になります。セロトニンの分泌は朝の光と歩行、咀嚼、呼吸といったリズミカルな筋肉運動で高まります。朝の光を浴び、身体を動かすことでセロトニンの分泌は高まりますし、昼間に太陽光を浴びることでメラトニンの夜の分泌も高まります。
最近、「寝ないと太る」という言葉を見かけます。睡眠時間が短い子では、テレビを見る時間が長く、夜食を食べ、朝食を欠食し、運動不足などの太りやすい生活習慣にあることが指摘されています。しかし、夜食を食べることだけが太る理由ではありません。睡眠時間が短いと脂肪を分解する成長ホルモンの分泌が減りますし、交感神経の活動が収まりにくくなり血清コルチゾールが上昇し、インスリン抵抗性が増大して血糖値が上昇する、レプチン(食欲を減少させる)が減ってグレリン(食欲を高める)という物質が増え体重が増加するといった可能性も指摘されています。交感神経が緊張状態になると血圧の上昇もおこります。十分睡眠をとらないと肥満、高血糖(糖尿病)、高血圧といったメタボリックシンドロームを誘導する事になります。人間の身体にとって重要な役割を果たす物質の多くは睡眠・覚醒のリズムの上で成り立っています。このリズムが崩れると体温やホルモンのリズムも崩れてしまいます。特に朝の太陽の光を浴びることと十分な睡眠時間をとることは重要です。
最近、夜の街中で子どもを連れた親を良く見かけます。親の夜更かしに合わせて子どもの入眠時間が遅くなったり、親の都合で子どもの眠りを中断したり、帰宅の遅い父親とのスキンシップを重視して乳幼児に夜更かしをさせるなどもあります。最近の小学生以上では宿題や塾のために寝るのが遅くなる事情もあります。しかし、生活リズムの基本は睡眠です。これが乱れると子どもの発育に悪影響を及ぼしかねません。将来の生活習慣にも悪影響を及ぼします。乳幼児では午後8時から翌朝の6時までの10時間の睡眠時間が必要といわれています。身体と共に精神についても「寝る子は育つ」です。それぞれの家庭での子どもの置かれた状況や家庭での子どもについての考え方があると思います。それぞれの家庭環境の状況内で実現可能な範囲を行えば良いと思いますが、早起きをし、昼間に体をよく動かし、就寝時間を決め、寝かしつけるときは物語を読んだりする、テレビや電気を消して眠りやすい環境を整えることも重要です。文部科学省では「子どもの生活リズムの向上プロジェクト」として「早寝早起き朝ごはん」という運動を推進しています。朝ご飯は朝に元気がない、ボーッとしている、切れ易い子を少なくします。昔から言われている「早寝早起き元気な良い子」は本当のことです。
睡眠障害には悪夢や夜驚症、夢遊症などがあります。悪夢はレム睡眠の間に見る怖い夢のことで完全に目が覚めて、夢の細部まで思い出せます。頻繁に悪夢を見るようであれば誘引となる原因を調べることも重要です。夜驚症は不完全な覚醒状態で非常に怖がりますが数分後には自然に眠りに入ります。夢遊症は眠ったままの状態で歩きますので、怪我をしないような配慮が必要です。夜驚症も夢遊症も子どもに多く、特別な治療方法はありませんし、自然に治まります。
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子どもの入浴
子供は新陳代謝が活発で、汗や皮膚の汚れが多く出ます。この汗や皮膚の汚れを放置すると汗疹や湿疹が出来てきます。子供にとって入浴は湿疹を予防するために重要です。
乳幼児は熱いお風呂は苦手で、体温より少し暖か目のお風呂を好みます。大人にとって少しぬるめに感じるくらいのお湯でゆっくり(39〜40℃くらいで10分以内)入れてあげて下さい。冬は少し高め、夏は少し低めにして下さい。浴室の温度もあまり熱くや寒くならないようにして下さい。
原則的に、新生児期はベビーバスを使用しますが、これは汚れた湯船からの皮膚の感染を予防することと、入浴させるのが容易であることがその理由です。きれいな浴槽でお湯の温度と入浴時間さえチェックできれば、赤ちゃんを浴槽に入れてはいけないというわけではありません。一般的には、母親が産後1か月間は入浴を控えますので、それと同じ期間はベビーバスにし、生後1か月頃から普通の浴槽に入れるようにしています。小さな子供の入浴時間はあまり長くならないように、10分以内が原則です。大人と一緒に入っても、子供を先に出すなど、子供が浴槽に長時間は入らないように注意してあげて下さい。入浴後は体のほてりが少し取れてから服を着させて下さい。早く服を着せすぎると汗をかいて湯冷めをします。
1、洗い方
生後1週までは顔や頭はお湯で拭くだけで十分です。3週頃からは皮膚脂肪の分泌が多くなることがあり、顔に小さなブツブツが出てくる場合はベビー石鹸をつけてやさしく(強くこすらない)、ゆっくりとていねいに洗うようにして下さい。顔や耳の後ろ、わきの下などは石鹸を指に付けて洗うようにすると洗いやすくなります。その後、お湯を含んだガーゼやタオルで石鹸を十分洗い落とすようにして下さい。ナイロンタオルでゴシゴシこすると皮膚を傷つけますので、ナイロンタオルは使用しないようにして下さい。ガーゼや木綿のタオルをやさしく使用して下さい。石鹸を使うのはゴシゴシこすらなくても皮膚の汚れが落ちるようにすることが目的です。石鹸を使えばゴシゴシこする必要はありません。ただ、石鹸を付けすぎないようにし、石鹸をお湯で十分洗い流した後、湯船の中で石鹸分が残らないようにして下さい。石鹸分が残ると皮膚を刺激し、痛みや痒みの原因となります。
皮膚が乾燥するとかゆみの原因となります。空気が乾燥する冬では、肌も乾燥しますので、乾燥肌の程度の強い子には入浴後に保湿性の軟膏を使用してかゆみやイライラから守ってあげて下さい。ベビーオイルは子供によっては皮膚の乾燥をひどくする場合がありますので、使用しても皮膚の状態が改善しない場合は使用を止めて下さい。皮膚の保湿目的で使用する軟膏は入浴後と朝、昼など1日2〜3回使用しますが、入浴後は皮膚が水分を十分含んでいる入浴後すぐの体が温かいうちに軟膏を使用し、皮膚の水分を保つようにしたほうが効果的です。
赤ちゃん用の沐浴剤は皮膚を保護する作用があり、スベスベしますが、汚れを落とす力は弱く、汚れのひどい部分や、汚れがひどいときには石鹸を使ってやさしく洗うことが必要です。入浴剤は使用しなければならないというものではありません。垢を落とす基本は石鹸です。顔も石鹸を使って洗ってあげて下さい。石鹸には無香料のベビー石鹸を使って下さい。低刺激性の石鹸を使用する場合は、洗浄力が弱く、普通の石鹸よりも少し時間をかけて洗う必要があります。
頭はベビー石鹸でも、シャンプーでも洗えますが、シャンプーのほうが油を落とす力が強いという特徴があります。
2、発熱と入浴
発熱があるときに入浴しても良いかどうかは多少議論のあるところです。わが国では風邪や発熱のある時に入浴すると体力が低下して病状が悪化するので、入浴しないようにということが昔からよく言われてきました。昔は、家の中でも冬は寒く、子供の栄養状態も良くありませんでした。また、家の中にお風呂もなく、銭湯などの外のお風呂に歩いて行かなければなりませんでした。冬の寒い時期に熱のある子供がわざわざ歩いて銭湯まで歩いていくという状況は良いとは言えないと思います。寒い家の中で布団にくるまって寝ていることが最良だったかも知れません。しかし、現在は子供たちの栄養状況は良く、家の中も暖房がありますし、お風呂やシャワーは家の中です。また、発熱時にぬるいお湯のお風呂やシャワーで体を冷やすという習慣の国もあります。子供たちの状況や環境が異なっていますので、昔の考え方が現在も正しいとは限りません。
風邪のときに入浴しても風邪の症状や治りやすさに変わりはありません。特に肌の弱い子や湿疹のある子の場合には入浴を長期間中止すると皮膚炎がひどくなりますし、イライラや不眠、不機嫌になります。オムツをしている子供ではオムツかぶれができます。病気を治すには病気と戦う体力の維持が重要ですので、体力を弱らせる不眠や不機嫌は困ります。熱があっても、元気なときは、さっと短期間の入浴で汗や皮膚の汚れを流してあげて下さい。皮膚が弱く、湿疹の出来やすい子供の入浴は特に重要です。機嫌が良くなり寝てくれますし、親の体力も回復します。
3、予防接種と入浴
以前は予防接種をした日の入浴は避けてくださいと説明がありました。これも特に根拠があっての説明ではなく、昔からの慣習による説明でした。予防接種のした日に入浴を避けなければならないという根拠はまったくありません。日常生活でしてはいけないことはありません。普段と同じ生活をして下さい。運動も特に制限する必要はありません。ただ、ワクチンの種類によっては大きな子供や成人では数日間体がだるくなることがありますので、この場合は自分の体調に合わせて下さい。
4、湿疹と入浴
湿疹に汚れがつくとかゆみが増します。皮膚をかけばさらに湿疹が増悪します。皮膚の汚れを落とすための入浴は湿疹の管理面からも重要です。皮膚の弱い子は出来るだけ毎日、入浴かシャワーをさせてあげて下さい。汗をたくさんかいたような場合は、そのつどにシャワーをお願いします。夏などは学校から帰宅後すぐのシャワーや水浴びは有用と思います。汗や皮膚の汚れを出来るだけ少なくすればかゆみも減少し、使用する軟膏や薬も少なくてすみます。湿疹がある場合には湿疹をこすらないようにして、皮膚の汚れを落とすだけの入浴方法を考えて下さい。石鹸を使って手のひらでやさしく、ゆっくり洗って、湯船で石鹸分を十分落として、入浴後に皮膚の手入れです。
5、ベビーパウダー
「てんかふ」ともいわれ、乾かして汗疹の予防によく使われました。昔は夏の子供の入浴後は首や腋の下、おしりなどはてんかふで真っ白が一般的でした。最近はクーラーも効くようになり、汗疹も軽くなり、薬も色々な種類があり、あまり使われなくなっています。汗疹の薬としては有用ですが、厚くなるほど塗るなど使いすぎると汗で固まって皮膚炎の原因となります。使う場合は薄く、少量を使うようにして下さい。
5、お風呂での事故防止
お風呂でおぼれたり、熱いお湯でのやけどの防止が重要です。子供は頭が大きく、重いという体の特徴があります。ヨチヨチ歩きをし始めたら要注意です。風呂場に近づけない、使用しないときは水を抜く、浴槽にふたをするなど事故防止に注意してあげて下さい。子供の入浴前に、お風呂の温度も自分の手で必ず確認してあげて下さい。
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子どもとビタミン
ビタミンは「微量で体内の代謝に重要な働きをしているにもかかわらず自分で作ることができない化合物」と定義され、炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外の栄養素で、健康的に生きて行くうえで必要ですが、自分で作ることができないため、食事などで外から補給をしなければいけない物質ということです。現時点では、13種類のビタミンが確認されていて、溶解性の違いにより、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)と水溶性ビタミン(B1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、パントテン酸、ビオチンのB群ビタミンとC、)に分けられています(体内で生成できるビタミンも一部あります)。ビタミンが不足すると、細胞の働きが悪くなり、病気になったり、成長に障害が出たりします。欠乏症を予防する目的で1日に摂取するべき量の目安となるビタミンの所要量が定められています。
1、脂溶性ビタミン
ビタミンAは視覚機能に関係する物質で、欠乏とする夜盲症(トリ目)になります。 急に暗い場所に入ったとき、目が暗さに慣れるまでに長く時間がかかるのは、生まれつきのこともありますが、ビタミンA不足の初期症状の可能性があります。その他にも目・気管・皮膚や粘膜の形成・機能にも関係しており、ビタミンAが不足すると、粘膜の抵抗力が減少して結膜炎や風邪にかかりやすくなったり、皮膚が乾燥してカサカサになったりします。
ビタミンDは、カルシウムの吸収・沈着をコントロールしています。 乳幼児期に不足すると背骨や足の骨が変形したり、頭の骨が薄くなる「くる病」になります。大人で不足すると骨が弱くなり、慢性的に骨や関節が痛くなる骨軟化症になります。とくに妊産婦や高齢者はビタミンD不足におちいりやすいので要注意です。このビタミンは太陽光線に含まれる紫外線が皮膚にあたると皮膚の細胞内で合成されます。散歩をしたり、通園・通学や昼休み時間に外に出るような普通の生活をしている限り日本人ではビタミンDの不足は問題とはなりませんが、日当たりのよくない環境では食事からの摂取が重要となります。ビタミンDは、ウナギ、カツオ、鮭などの魚や天日干しのシイタケなどの食品に多く含まれていますので日本人の平均的な食事では不足することはまずありません。離乳食が制限された母乳栄養児や牛乳や卵を食べないベジタリアンなどでは食事だけではビタミンDの必要量を満たすことは出来ない可能性がありますので顔や手に日照を適当に(10分程度)浴びることは重要です。
ビタミンEは末梢血管を拡張し、血液循環をよくする働きがあります。冬、しもやけや冷えに悩まされる人は、ビタミンEの補給が有効なことがあります。最近とくに注目されているのが抗酸化作用です。体内で脂肪が酸化すると老化や動脈硬化を進める有害物質ができますが、ビタミンEを充分とっておけば、これを防ぐことができるといわれています。
ビタミンKには止血に重要な働きをしています。ケガなどで出血すると、ビタミンKなどが働きプロトロンビンという物質が出来て血液を固めて血を止めます。ビタミンKが欠乏すると出血しやすくなり、臓器内や皮下に出血が出現します。ただ、腸管内に存在している細菌がビタミンKを十分作っており、人はそれを吸収して利用することが出来ますので、ビタミンK欠乏症は新生児や乳児早期(母乳栄養児に多いとされ、出生時と生後1か月時に補充が行われています)におこる出血以外には、特殊な場合を除き起こりません。
2、水溶性ビタミン
ビタミンB1は、糖質が燃えてエネルギーとなるときに不可欠なビタミンです。穀物・砂糖・アルコール類を多くとる人は、B1も多めにとる必要があります。B1 の欠乏症は下肢などの疲労感、知覚異常、神経麻痺、進行すれば心不全などの症状を呈する脚気です。現在の日本では本格的な脚気はきわめてまれですが、スポーツドリンクを多飲する子どもが偏食をしている場合などでは、だるさやむくみなどの潜在的な脚気症状が出ることもありますので注意が必要です。
ビタミンB2は成長促進作用がありますので、とくに成長期には充分とる必要があります。また、B2は食欲に関係するほか、口・皮膚・口腔などの粘膜を正常に保つために必要です。B2が不足すると目の異常や口角炎、口内炎などが起ります。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に重要な役割をはたしています。欠乏すると、目・口・耳・鼻の周囲に皮膚炎が起ります。多くの食物中に含まれますし、腸内の細菌も合成しますので、特殊な薬を服用する場合など以外では欠乏症はまれです。その他に、貧血、むくみ、足が麻痺してピンや針で刺されるようなチクチクした感覚が生じる末梢神経炎、乳児では痙攣などが起るといわれています。
ビタミンB12はたんぱく質の代謝に関係するほか、血液成分の赤血球を作るときに必要です。 ビタミンB12が欠乏すると赤血球を作るしくみがうまくいかず貧血になり「悪性貧血」と呼ばれます。
ビタミンCは細胞と細胞をつなぐコラーゲンというたんぱく質の合成に関与しているため、不足すると血管壁の結合がゆるんで出血します。ビタミンCの欠乏症は歯肉の出血と腫脹、関節の腫れ、体の各部から出血する「壊血病」です。 歯ぐきから出血しやすくなったらビタミンC不足の可能性があります。 この他にもビタミンC には、日焼けや皮膚の色素沈着を防ぐ、鉄の吸収を助ける、免疫のしくみを正常に保つなど、幅広い働きがあります。さらに、ストレスを多く受ける人、タバコをよく吸う人は、ビタミンCの必要量が増えます。
3、ビタミン過剰症
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCを除くビタミンは1日当たりの許容上限摂取量が定められています。水溶性ビタミンは過剰に摂取したとしても、使用されない過剰分は尿の中にすぐに排泄され蓄積しません(たくさん摂取しすぎても効果は同じ)が、脂溶性ビタミンは肝臓をはじめとする体内に蓄積されます。そのため、脂溶性ビタミンを多く摂り過ぎると、過剰摂取による副作用が出てくる危険性があります。ビタミンAを取り過ぎると、頭痛や吐気、皮膚が乾燥してむける、筋力低下、関節痛などの症状が現われることがあります。また、妊娠3か月までに過剰摂取すると胎児に奇形が起きる率が高くなる可能性があると報告されています。ただ、ビタミンAの中でも野菜に多く含まれるカロチン(βカロテン)は体内で必要に応じビタミンAに変わるという性質がありますので、カロチンを多く摂取しても皮膚の色が黄色くなる程度で過剰症はほとんどありません。ビタミンDを取り過ぎると食欲不振、吐気、頭痛、ひどくなると臓器にカルシウムが貯まり過ぎたり腎障害をおこします。脂溶性ビタミンでも、ビタミンEとKは過剰症の危険性がほとんどないとされています。通常の食生活のなかではビタミン過剰症を心配する必要はありませんが、ビタミン剤、サプリメントなどで多量に摂取するときは過剰症への注意が必要です。バランスのとれた一般的な日本人の食事ではビタミン欠乏症は生じません。ビタミン剤の服用は不要です。子どもにはバランスの良い食事を心がけてあげて下さい。生活習慣病の予防も含め、お袋の味としてその子の一生涯に良い影響を与えると思います。
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子どもの貧血
貧血は赤血球やヘモグロビン(赤血球に含まれる鉄を含むたんぱく質で、肺から血中に取り込んだ酸素を体内に運搬する働きがあります。鉄が不足してヘモグロビンの合成が少なくなると体の細胞に供給される酸素が不足して症状がでます。)濃度が少なくなくなった状態と定義されています。
貧血は赤血球の大きさで小球性貧血、大球性貧血、正球性貧血に分類され、小球性貧血は鉄分の不足やサラセミヤ(遺伝的な貧血の1つで、重症な型でなければ治療する必要はない)、大球性貧血はビタミンB12や葉酸の不足、正球性貧血は血液の病気などが考えられますが、ほとんどは鉄欠乏による小球性貧血ですので鉄欠乏性貧血について述べます。
生まれる時にお母さんからもらった鉄分は限りがありますし、その後の急激な成長で、生後7か月には血中ヘモグロビン濃度が少なくなってきますが、この頃から離乳食が開始され、鉄分が離乳食から供給されるようになり、自然に改善します。乳幼児期では、牛乳及び乳製品の多量摂取による鉄欠乏性貧血があります。牛乳は栄養的には良好な食品ですが、牛乳には鉄分が少ししか含まれていませんし、含まれている鉄分の吸収も不良です。牛乳が好きで、たくさん飲んでいるから他の食べ物をあまり取らなくても、栄養が足りているという考えは危険です。食事量が少なく、一日1リットル程度の牛乳を飲用する子の鉄欠乏性貧血を牛乳貧血と呼んでいます。思春期では成長が急激になりますし、女子では月経出血も出てきますし、やせ願望による無理なダイエットで鉄欠乏に陥ることがあります。また、ストレスの多い時期でもあり、胃潰傷や十二指腸損蕩による慢性出血も見受けます。いずれにせよこれらの貧血は軽症で、症状もほとんどありませんが、長期間続くと体の発育に影響します。
原因
新生児期:出生時の出血や血液型不適合による溶血で貧血になります。溶血の場合は、黄疸が強くなります。
乳児期:生後6か月くらいまではお母さんからもらった鉄のストックがありますし、母乳は鉄分が少ないのですが、鉄の吸収率が良好(母乳は50%、牛乳では3〜15%)です。育児用ミルクも鉄の吸収率が母乳に比べ悪いのですが、その分だけ鉄を多く含んでいるため、この頃までは鉄欠乏はほとんどありません。お母さんからもらって貯蔵していた鉄も生後7か月以降には減少して行きます。このあとは、食物から鉄分をとらなければなりませんが、牛乳、米には鉄分が少なく、離乳食が遅れたり、鉄分が少ない食事をとっていると貧血症状があらわれます。特に生後9カ月から2歳ごろに起こりやすいといわれています。
幼児・学童:鉄分やたんぱく質摂取の少ない子に貧血がみられます。また、思春期前後の女子には無理なダイエットによる鉄分不足のひどい貧血が起こることがあります。
症状
顔色が青白く、目の結膜や口の粘膜、爪などの色も白っぽくなります。乳幼児では、きげんがわるく食欲がない、元気に遊ばずゴロゴロしている、体重がふえないなどの症状があらわれます。年長児では、疲れやすく、軽い運動でも動悸や息切れがし、めまいがしたりします。
乳幼児では鉄欠乏性貧血が3か月以上続くと精神や運動の発達は遅れる可能性が指摘されています。偏食はなるべくしないようにして下さい。
治療
鉄は肉や魚の赤身に含まれるヘム鉄と穀物や野菜などに含まれる非ヘム鉄に分類され、腸管からの鉄の吸収率はヘム鉄が15〜20%、非ヘム鉄では2〜5%と吸収率はよくありません。ただ、ヘム鉄は非ヘム鉄の吸収を促進しますし、ビタミンCも非ヘム鉄の吸収を促進します。食事には肉や魚と一緒に野菜や果物を摂取することが望まれます。逆に、お茶や紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を悪くしますので食事時にはほどほどにする必要があります。これらのバランスの取れた食事が鉄欠乏性貧血を予防しますし、治療にもなります。
食事療法で改善しない場合や強度の鉄欠乏性貧血と診断された場合には鉄剤を服用します。鉄剤をのみはじめて1〜2カ月で貧血はよくなりますが、その後も1〜2カ月はのみ続けて、鉄分の貯蔵も増やします。鉄剤服用とともにレバーや肉、卵、大豆、濃緑色野菜などの鉄分が多い食物やたんぱく質、ビタミンCやB12を十分とるようにすることも大切です。
鉄欠乏性貧血以外や、鉄剤を飲んでも改善しない場合は、くわしい検査が必要になります。
食事では起こりませんが、鉄剤を飲み過ぎて鉄を過剰摂取すると、頭痛、食欲不振、肝機能障害、性ホルモンの異常、皮膚の黒ずみなどの副反応が生じますので鉄剤を服用するときには注意が必要です。
問題点
1、過度な運動によるスポーツ貧血
思春期貧血の原因の1つとして、スポーツ貧血が問題視されています。走ったりジャンプしたりすることによる足底血管内の赤血球破壊が原因です。また、発汗などで鉄分が失われることも多く、ふつうの人以上に鉄分を摂取する必要があります。過度の運動をすると、胃や十二指腸から出血することもあります。このような形で知らず知らずのうちに鉄分が失われていきます。さらに、運動したあとにスポーツドリンクを飲み過ぎると一種の水中毒の状態になったり、満腹感のため食欲がなくなり、低栄養になることがあります。
2、牛乳の飲み過ぎも貧血になります。牛乳が鉄吸収を妨げる可能性もあります
最近は子どもの骨の発育やカルシウム不足からくる骨粗鬆症の予防にと、牛乳摂取がさかんに奨励されていますが、牛乳中には鉄は少ししか含まれていませんし、牛乳中に多量に含まれるカルシウムとリンが鉄と結合して腸からの鉄の吸収抑えます。つまり、牛乳を飲み過ぎると鉄の吸収が妨げられてしまいます。鉄剤を牛乳と一緒に飲まないなどの注意が必要です。スポーツドリンクと同様に牛乳を飲みすぎて、満腹感のため他のものを食べなくて低栄養になることも問題です。
生後12か月までの子に牛乳を与えると腸から微量の出血が生じ、貧血が起こりやすくなるといわれています。生後12か月まではなるべく牛乳を与えないようにして下さい。
3、貧血の主な原因は偏食です。
貧血を予防するためには家庭の食事がバランスの良い食事であり、それをきちんと食べていることが重要です。鉄分の吸収率は平均して約10%と低いため、1日の必要量1〜2mgを確保するためにかなりの量を摂取しなければなりません。偏食が原因の場合は薬で治療してもすぐ再発します。
貧血を起こすと、酸素供給不足による影響が全身に生じます。だるさや疲れやすさのほか、脳の働きにも影響します。(大人では集中力の低下や物忘れが、子供では落ちつきのなさ、注意力の欠如などが指摘されています)また、心臓は酸素不足を補うために健康時の数倍もの血液を送り出さなければならず、重い負担がかかります。頻脈や息切れなどの症状が出るのもこのためです。
厚生省の栄養所要量では、1日あたり成人男性は1日10mg、女性は12mgの鉄分が必要と定められています。女性は月経で血液を失う分、多くの鉄分を必要とします。鉄分は肉や魚、海藻、大豆製品などに多いのですが、野菜にはあまり含まれていません。たとえば、サラダによく使われるレタスは100g中に鉄が0.3mgしか含まれておらず、レタスまるごと1つ食べても、摂取できる鉄分はたったの1.5mgしかありません。小学生の女児の頃から若い女性はダイエットブームですが、ダイエットによいからと、生野菜サラダばかり食べていては、鉄分はほとんど摂れません。バランスの良い食事が重要です。
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子どもの腹痛
子供は「おなかが痛い」「ポンポンが痛い」とよく訴えます。しかし痛みの場所を話せたり、示したり出来るようになるのは3歳過ぎ頃からです。小さくてしゃべれない子は泣くことで腹痛を訴えます。特に赤ちゃんは話したり、痛みの場所を訴えたりは出来ません。機嫌が悪いだけです。また、「ぽんぽんが痛い」は必ずしも腹痛を訴えているとは限りません。「ウンチ」「オシッコ」「吐きそう」「筋肉痛」など色々です。
腹痛を訴えた場合は稀には急を要する病気のこともありますが、外科的な処置を必要とするのは1%以下です。普通は便秘、下痢、体調不良、心因性などが原因です。便意を感じたときに「トイレへ行きたい」や「おなかがきもち悪い」の代わりに表現することが多いのですが、「遊んでほしい」「しんどい」「行きたくない」「やりたくない」などの表現の代わりのこともあります。
1、腹痛
元気でおへその部分を手のひらで押さえて訴える程度のものから、顔をしかめながら体を前屈して訴える痛みまで様々です。前者の場合は小児科医を受診するほどのものは少なく、@おなかを手のひらでさすってあげることで本人は納得し、痛みが消失することがよくあります。どこか痛い部位があればさすってあげることで本当に痛い部位に手のひらが触れることになり顔をしかめたり痛みを訴えますので、小児科を受診するかどうかの目安ともなります。Aトイレに座らせて排便をさせ、便の状態をチェックします。トイレで座ることで腹痛は軽減することが多く、また下痢や便秘などの状況が判断できますし、便の色や臭い、粘液や血液の付着状況などがわかります。普段とは異なる便の場合はウンチをしたオシメや便を紙コップなどに入れて小児科に持参すると診断の助けになります。顔をしかめたり、体を前屈する姿勢をとる場合は腹痛が強烈ということを示しており、早急に小児科専門医を受診して診断をしてもらう必要があります。
2、腹痛の原因
子供はよく急に腹痛を訴えます。便秘や下痢による腹部の痛み、不快感であることがほとんどで、トイレで排便さすか浣腸で便を出してあげればほとんどの場合に痛みは消失します。出た便はチェックして下さい。排便でも治らない場合や便の性状が悪い場合は小児科専門医を受診して下さい。
口癖のようにおなかが痛いと訴える子がいます。この痛みはへその周囲であることが多く、数分で治ったり、何か興味のあることがあるとすぐ治ったりします。何か嫌なことや不安なことがあるのかもしれません。寂しさを訴えていることもあります。
また、腹痛が朝に多かったり、月曜日に多かったり、痛む部位が変化したりする場合は心因性腹痛を疑います。両親や友人、学校での人間関係などでもおこります。
1)便秘
硬い便を排便しようとするときに腹痛を訴えます。きばってうまく排便できれば良いのですが、便塊が大きすぎたり、きばると腹痛が来るのが嫌でその痛みのためにうまくきばれずに泣くなどよく経験します。この場合には浣腸などで排便すると腹痛は消失します。
便秘がちな子供の場合、便秘のときの腹痛が嫌で排便するのを嫌がり、よけいに便秘がひどくなっていくこともあります。こういった場合には便を軟らかくする薬や浣腸などを使用し、排便には痛みが伴わないということを子供に十分納得してもらう必要があります。
2)下痢
便の性状が悪くなればなる程、排便する直前に腹痛を強く訴えます。この場合も排便後は腹痛を訴えなくなります。便の色や臭い、血液や粘液の混入などに注意してください。
3)腸重積症
3歳までの子に多く、風邪や下痢のときに腸が腸の中に入り込むためにおこります。その結果、腸が閉塞され嘔吐が生じ、便に血液が混入します。この痛みは周期的におこり、泣いたり泣き止んだりを繰り返すという特徴があります。自然に治ることもありますが、多くは緊急的な処置が必要です。
4)自家中毒症
食中毒ではありません。周期性嘔吐症やアセトン血性嘔吐症とも呼ばれています。発熱や下痢、疲れなどがきっかけで腹痛や嘔吐をおこすことがあります。神経質な子供に多いとされており、おこしやすい体質の子がいます。血液や尿中に脂肪の分解産物のアセトン体が増えることで診断します。ひどくなれば点滴です。点滴が良く効きます。
5)起立性調節障害
朝なかなか起きられず、顔色不良で腹痛や頭痛を訴えます。特に午前中に症状が集中します。立ちくらみや乗り物酔いもよく伴います。立ったときには下半身の血管を収縮させて脳へ行く血液を保つように起立性調節という作用が働きますが、この調節機能がうまくいかない人に症状が出現します。特に小学校高学年や中学校の思春期の子供に多く、風邪をひいたり疲れたりすると症状が強くなります。登校拒否と間違われる子もいます。朝に薬を飲めばよくなります。思春期を過ぎればほとんどの人は改善します。
3、注意点
1)便の観察
便秘、下痢、色、臭い、血液や粘液の付着など、腹痛では便の性状は重要です。場合によっては病院で浣腸してでも便を診てもらってください。発熱や嘔吐、元気がない、棒状のもので腹部を強く打った、尿に血液が混じる、尿の色が濃いなどの状況も医師に知らせて下さい。
2)子供の訴えを無視しない
いつもの「ポンポンが痛い」だからなどと子供の訴えを無視しないで下さい。忙し場合は短時間でも結構ですから、お腹をさすってあげたり、話を聞いてあげたりして下さい。子供は何かを訴えようとしています。
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