細気管支炎では細い気管支が狭くなり、肺に出入りする空気の流れが妨げられ、呼吸困難を引き起こし、特に息を吐くことが困難な状況になります。特に、乳児の場合は、細気管支は非常に細く、炎症が起きると痰がすぐにたまって空気が通り難くなります。主な原因はRSウイルスです。
このRSウイルスは10月から5月頃まで流行する冬の風邪のウイルスの1つで、何度でも感染、発症します。しかし、再感染を繰り返す毎に免疫力も徐々に獲得し、症状も軽くなっていきます。一般的に2歳頃までには数回の感染を受けますので、この頃には十分な抵抗力も獲得し、感染しても鼻風邪程度になります。
成人や年長児におけるRSウイルス感染症は軽いかぜの症状のみですみますが、2歳以下の乳幼児ではしばしば上気道炎から下気道炎に進展して細気管支炎となります。特に6か月以下の乳児では入院加療を要する頻度の高い病気です。
症状と診断
咳、鼻水などの風邪の症状が2〜3日続いた後、息を吐くときにゼーゼーという音がしたり、呼吸回数が多くなり、呼吸時に胸が凹みます。罹病期間は通常7〜12日で、ほとんどの乳児では症状は軽度で治りますが、一部の乳児では入院を必要となる場合もあります。
治療
RSウイルスに対する治療薬はありません。症状に対する治療法のみです。呼吸困難が出現しなければ、10日ほどで自然に治ります。重症化しやすい乳児に対してRSウイルスの抵抗力を投与して感染を予防する治療法がありますが、現時点では使用対象者は非常に限定されています。
呼吸困難により元気がなくなり、母乳、ミルクを飲まなくなります。脱水気味になると痰が絡み、咳込みなどがさらにひどくなり、水分を取れず、どんどん悪くなります。こまめに水分摂取を心がけて下さい。部屋もできるだけ湿度を上げて下さい。加湿器があれば使い、なければ洗濯物を室内に干したりして下さい。
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