2009年 12月27日 放送
インフルエンザ7


 新型インフルエンザの流行のピークは過ぎましたが、今後はいつものインフルエンザも加わりながら流行します。新型は感染しても軽い症状で治る子も多く、全く症状の出ない子もいます。いつものインフルエンザと同様に考えていただいてよいと思います。
 インフルエンザは高熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が強く、年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。うがい、マスク、手洗いなどをお願いします。
 昨シーズンまでは香港型やソ連型といわれる2つのタイプのA型とB型が毎年流行していましたが、昨年の夏からは新型といわれるA型も加わりました。毎年ウイルスが変化しますので、昨年に感染していてもまた感染します。3種類のA型とB型といったように、一冬で数回インフルエンザにかかることもあります。

 感染後1〜4日で急に発熱し、38〜40℃が4〜7日間続きます。他の風邪に比べ寒気、関節痛、筋肉痛、咳など、症状が強いのが特徴です。ワクチン接種で軽症化が期待できます。  

 脳症は乳幼児に生じやすく、意識の低下や長時間の痙攣が特徴で、脳に後遺症を残しやすい病気です。高熱だから脳症になるわけではありません。

 ボルタレンやポンタールなどの解熱剤を使用した場合に脳症が生じやすいとされています。安全性が高いのはアセトアミノフェン(カロナールなど)のみです。薬局や病院でもらう総合感冒薬などのほとんどに解熱剤が含まれています。注意して下さい。
 インフルエンザの治療薬は発熱出現後2日以内の開始が有効で、早期のほうが症状は軽く治ります。しかし、治療薬は使用しなくても治ります。タミフルは安全性にため1歳未満と異常行動出現の可能性のため10歳台での使用は原則控えるようになっています。ただ、発熱自体でも幻覚、幻聴、異常行動が出現する場合があります。少なくとも発症2日間は子どもの行動への注意が必要です。



2009年 11月22日 放送
乾燥肌7


 冬の子どもの皮膚は乾燥し、痒みを伴い不眠やイライラの原因となります。掻くと皮膚を傷め、さらに痒くなり、悪循環になります。

 すべすべの肌にしようとするのは不可能ですし、必要もありません。多少肌が荒れていても元気で夜が眠れていれば無視です。特殊な例を除けば、ほとんどの例でアレルギーは心配要りません。ほとんどのアレルギーは良くなったり、悪くなったりしながら数年の経過で治まります。
 赤ちゃんはお母さんの性ホルモンの影響で皮脂が多いのですが、生後6か月から思春期までは性ホルモンが少なく皮膚が乾燥しがちになり、冬の子供は乾燥肌が普通です。思春期では皮脂が多く、にきびも出ますが女性では30歳頃、男性では40歳頃から皮脂の量が減少し皮膚は乾燥します。

 子供や皮膚の弱い人では汗やあかが暖かい布団へ入ってからの痒みの原因となることがあります。お風呂は汗やあかを落とすために有用で、子どもにあったベビー石鹸をやさしく使って、石鹸分をよく洗い流すような入浴をして下さい。タオルでゴシゴシ洗うのは皮膚を傷つけ、皮膚の持つバリア機能を破綻させ、よけいに悪化し、痒みが増しますので止めて下さい。

 直接肌に触れる下着などは吸湿性の良い木綿のものを洗って柔らかくしてから使用して下さい。化学繊維や毛糸などは皮膚に直接触れないようにして下さい。

 ワセリンや薬の入った保湿剤、かゆみを抑える薬、炎症を抑える薬などいろいろあります。数種類を症状にあわせて使い分けてください。赤みがひどい場合は保湿を目的とした軟膏だけでは抑え切れないことが多く、炎症を抑える薬の入った軟膏が必要となります。症状が強いときは、特に夜中のかゆみを抑える目的で飲み薬も使用し、安眠の確保と掻くことによる皮膚の悪化を防ぎます。



2009年 10月25日 放送
嘔吐下痢症7


 嘔吐下痢症は冬に流行する風邪の1で、頻回の嘔吐と下痢を伴います。潜伏期間は1〜3日で、微熱が1日程度認められることもあります。嘔吐は半日から丸1日で治まります。下痢は白っぽいクリーム色の水様便になることが多く、4〜5日間続きます。機嫌が悪くなったり、ぐったりして点滴が必要となることもあります。特に乳児では脱水症を伴いやすいので要注意です。
 ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスが主な原因です。それぞれタイプが多数あり、毎年かかりますし、一冬に2回以上かかることもあります。

 患者の吐物や下痢便中にウイルスがありますので、これらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。吐物や便を触った後は手洗いを十分する必要があります。塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上煮沸がこのウイルスに有効とされていますが、家庭ではきれいに拭き取ってから水道水(流水)での手洗いでも十分と思います。

 嘔吐や嘔気のある間だけは食事を止め(食べても吐いてしまいます)、ごく少量(コップ1/4程度の嘔吐しない量)のイオン飲料水やお茶を頻回に与えて下さい。その後徐々に1回量を増やしていきます。イオン飲料水が十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。

 下痢が続きますので、牛乳や乳糖を多く含む食物は止め、ジュースなども中止し、お茶、湯冷まし、乳児用(年齢に応じた)イオン飲料水を飲ませて下さい。吐気がなければ離乳食や消化の良い食事は欲しがるだけ与えて下さい。食事は腸の回復を助けます。

 下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。ひどい嘔吐には嘔吐止めを使用します。

 症状がひどく、口の中が渇いてきたり、ぐったりするなど脱水が疑われる場合には点滴による水分補給が必要です。



2009年 9月27日 放送
夜尿症(おねしょ)


 夜尿は年齢が進み、身体が発育するにつれて膀胱容量が増大し、睡眠リズムが安定してくると夜間の尿量が減少して、夜尿は無くなって行きます。夜尿は小学生で数%ともいわれ、夜尿をしている子供は意外と多いのです。寒いと尿量が増加しますので、夜尿は冬に多くなります。

 夜尿は大きく2つのタイプに分けられます。ぐっしょり型といって睡眠中の尿の量が多すぎるため夜尿となるタイプがあります。睡眠中には尿量を減少させる作用のあるホルモンが年齢が進むにつれたくさん分泌されるようになり夜間の尿量が減ります。このホルモン分泌機能の未熟が原因です。あと1つはちょっぴり型といって膀胱が小さいために尿をためられる量が少なくて夜中に十分な蓄尿ができず漏らしてしまうタイプです。

 生活指導は@しからず、Aあせらず、B起こさずが原則です。@無意識に行っているので、しかられても本人はどうしようもないのです。A長期戦です。未熟な機能が身体の発育と共にゆっくり発達してくるのを待つ必要があります。B子どもの健全な発育・発達には十分な熟睡は大切です。夜尿のおこりそうな時刻に起こして排尿させるという方法は、睡眠リズムを崩し、熟睡やホルモン分泌に影響します。夜間の膀胱容量も大きくなりません。夜中に起こして排尿させる方法はなるべく避ける方が良いと思います。

 機能の発達は待つしかないのですが、夜間の尿量の減少や排尿抑制機能を高めることは可能です。@食べたり、飲んだりした水分は3、4時間で尿になります。入眠4、5時間前から水分を制限し、夕食も早くして下さい。A塩分をたくさん摂ると尿量が増加し、のどが渇きますので水分摂取が増えます。夕食は薄味でお願いします。B膀胱を大きくする方法として、腎臓や尿管に異常がある場合を除いて、昼間に尿意があっても可能な限り我慢して膀胱を大きくします。これらの対応を行っても効果が得られない場合に薬を使用します。小児科専門医にご相談下さい。



2009年 8月23日 放送
かん虫、第一反抗期


 子どもはかわいいものですが、育児となると楽しさの中に困難も伴います。かん虫も反抗期もほとんどの子に出現します。

 赤ちゃんが泣きやまない、夜泣き、食べない、すぐ不機嫌になる、つまり親が困る、大人の思うようにならないことを「かん虫」と表現します。赤ちゃんは成長するにつれ欲求が強くなり、思うようにならなければ腹が立つはずです。自我が芽生え、腹が立つことを覚えると「かん虫」が出てきます。子どもがうまく成長している証拠です。うまくかん虫とうまく付き合って下さい。子育て中の友人か小児科専門医に相談しましょう。

 2歳頃になると走ったり、言葉を理解したり、行動の幅が広がると同時に、自分で出来ることに喜びを感じるようになります。色々な事に兆戦し、他人が手伝うと「自分で、自分で」と怒ります。急いでいるのにこれをされると、こういった時期だとわかっていても、理性と感情は別で、我が子ながら腹が立ってきます。

 自己というのが強く出始め、大人のいう「反抗期」です。ただ、子供は反抗しているのではなく、急いでいるとか子供のためにという大人の都合や考えを理解できていないだけです。あと数年間はこういう時期だと諦めて下さい。

 出来なかったことに挑戦し、努力します。親にほめられたり、認められることを喜びます。能力がつき、失敗をすることで耐える能力が身についてきます。甘やかしすぎたり、制限のない自由奔放は困ります。悪いことや不注意なことには叱る必要があります。善悪の判断を教えてあげて下さい。これらの体験を通じて衝動にブレーキがかかり忍耐力が身に付いていきます。

 親が子どもを頭ごなしに押さえつけたりすると強く反発します。子どもが大人の状況を理解できるようになる5、6歳まで待つ必要はありますが、子どもに親の状況を説明しながら、子供の話も聞いてあげて下さい。



2009年 7月26日 放送
夏休みの注意点3


 夏に外で遊ぶと熱中症、紫外線による日焼けなどがありますが、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、成人に持ち越される小児のメタボリック症候群の予防に重要な役割を担っています。

 クーラーの効いた家の中でダラダラしたり、ゲームばかりしていると「夏太り」が生じます。昔は暑くて食欲も出ませんので「夏やせ」がありましたが、最近は一年中肥るという状況です。さらに、コンビニやファーストフードなど子どもの好きなカロリーの高い食物がいつでも手に入るという状況が夏太りを助長しています。肥満は肝障害や糖尿病,高血圧を起こりやすくします。バランスの良い食事をおいしく食べて、適度な運動をして太らないように心がけてください。ただ、やせすぎも困ります。10代の過度なダイエットは肉体的にも精神的にも影響が大きく危険です。

 紫外線は肌表面の細胞を傷つけ、炎症を起こし日焼けを作ります。また、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。日本人は黄色人種ですので、皮膚にあるメラノサイトという細胞は紫外線をブロックするメラニン色素を作り、皮膚を黒くして紫外線の悪影響を防止しますので、極端な紫外線対策は不要とは思います。ただ、帽子や衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤での紫外線防御は必要です。屋外での遊びは、気候を感じ、怪我をして痛みを知る、体力向上や気力を養う、覚醒と睡眠のリズムを養う、自律神経を発育させるためには大切ですし、友達と一緒に遊ぶために協調性が養われ、またストレス発散の手段としても非常に有用です。

 生体の適応範囲をこえる高温環境が続くと、水分や電解質の代謝がうまくいかなくなり熱中症がおこります。大量の発汗によって脱水や電解質の喪失が生じると脱力感、嘔吐、頭痛などがおこります。睡眠不足、運動不足などの体調不良を極力避ける。高温になる環境を避ける。高温下で運動するような場合には適当な休憩や電解質やカロリーの含まれた水分を十分に摂取させるなどで熱中症は予防できます。



2009年 6月28日 放送
子どもとビタミン


 ビタミンは身体の調子を整えるために必要な栄養素ですが、自分で作ることができないため、食事などで補給をしなければならない物質です。脂溶性ビタミン(A、D、E、K)と水溶性ビタミン(B1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、パントテンサン、ビオチンのB群ビタミンとC)に分けられます。

1、主なビタミン欠乏症
 ビタミンAは欠乏とする夜盲症(トリ目)になり、 急に暗い場所に入ったとき、目が暗さに慣れるまでに長く時間がかかります。

 ビタミンDはカルシウムに関係し、 乳幼児期に不足すると背骨や足の骨が変形したり、頭の骨が薄くなる「くる病」になります。

 ビタミンKが欠乏すると出血が止まりません。新生児にはビタミンKを投与します。

 ビタミンB1の欠乏症は下肢などの疲労感、知覚異常、神経麻痺、進行すれば心不全などの症状を呈する脚気(かっけ)です。スポーツドリンクを多飲する子どもが偏食をしている場合などでは脚気症状が出ることもあります。

 ビタミンB6が欠乏すると、目・口・鼻の周囲の皮膚炎、貧血、乳児では痙攣です。

 ビタミンB12が欠乏すると貧血になり「悪性貧血」と呼ばれます。

 ビタミンCの欠乏症は歯肉の出血と腫脹、関節の腫れ、体の各部から出血する「壊血病」です。 歯ぐきからの出血が初期症状です。

 バランスのとれた一般的な日本人の食事ではビタミン欠乏症は生じません。色々な食物をバランスよく摂取するようにして下さい。ビタミン剤の服用は不要です。

2、ビタミン過剰症
 水溶性ビタミンは過剰に摂取しても、過剰分は尿の中にすぐに排泄され蓄積しませんが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されますので、ビタミン剤やサプリメントなどで摂り過ぎると、過剰摂取による副作用(頭痛、食欲不振、肝臓や腎臓の障害)が出ます。



2009年 5月24日 放送
暑熱障害(熱中症)


 生体の適応範囲をこえる高温環境が続くと、水分や電解質の代謝がうまくいかなくなり障害がおこります。小児は体温調節機能が未熟で、水分をたくさん必要としますので、暑熱障害は子供に起こりやすい病気です。
 気温が高い、湿度が高い、無風状態、急に気温が上昇した時、砂やアスファルトで日光の反射が多い所などで起こりやすいとされています。7、8月に多く発症しますが、身体が暑さに慣れていないこの時期でも要注意です。特に、乳幼児では、初夏の気温があまり高くない時期でも、車の中に短時間でも放置されると熱中症になり、死亡する場合もあります。
 大量の発汗によって脱水や電解質の喪失が生じると、抹消の循環が悪くなり、脱力感、嘔気、頭痛などの症状が出現します。小さな子の場合はおとなしくなる(ぐったりする)、口唇が乾くなどで気づかれます。 普通のレベルの発汗ではお茶やお水の水分補給で十分ですが、大量に発汗する場合では、電解質の含まない水分の補給だけでは、電解質(ナトリウムとクロール)が少なくなり、運動後に下腿のふくらはぎのこむら返りなどの筋肉の痙攣がおこり痛みを伴います。
 重症になると体温が異常に上昇し、極度の脱力状態、皮膚が蒼白となり治療が必要となります。さらに症状が進行すると全身臓器の障害がおこり、痙攣、意識障害などが生じ、死亡する場合もあります。

対応
 睡眠不足、運動不足などの体調不良を極力避ける。高温になる環境を避ける。通気性の良い服装や帽子を着用する、高温下で運動するような場合には適当な休憩や電解質やカロリーの含まれた水分(年齢に応じたイオン飲料水やスポーツ飲料水を薄める)を十分に摂取させるなどで熱中症は予防できます。
 熱中症は初期症状出現を見逃さず、塩分やカロリーの含まれた水分を十分摂らして、冷所で安静にさせることが重要です。重症では緊急入院も要します。



2009年 4月26日 放送
こどもの日の健康チェック


 新学期での変化にも慣れた頃と思いますし、5月5日はこどもの日です。自分の子供の全般をこの機会に考えてみませんか。元気さ、食欲、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックすることは色々ありますが、母子手帳を開いてみてください。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で済みます。麻疹風疹混合ワクチンの接種は1歳と幼稚園年長児の2回になり、昨年からは5年間の限定ですが、中学1年生と高校3年生の1年間にも接種する事になりました。1歳の子、幼稚園年長児、中学1年生、高校3年生の人は早く接種してください。有料ですが、みずぼうそう、おたふくかぜなどのワクチンもあります。保育園や幼稚園を長期間休まれては困るなどの場合には接種して下さい。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 身体の発育、言葉、行動、運動などの発達で気になることがあれば小児科専門医にご相談下さい。健診での身長や体重の数値を母子手帳の後ろのほうにある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子供が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。

 身長がかなり低い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあります。治療で身長が良く伸びる場合がありますので、小児科専門医を受診して下さい。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。

 女性はやせ体型が美しいとする考え方が思春期前の女性を摂食障害に追い込んでいます。やせ体型にも程度があり、個人差があること、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。



2009年 3月22日 放送
低身長10


 同じ生年月日の子100人を身長順に並べて前から2人を低身長と診断しますが、身長がかなり低い、あまり伸びないと感じたら可能性が強くなります。低身長は学校のような集団生活の中や多感な思春期ではいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあります。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。中学生や高校生になり、身長が伸びなくなってからでは遅すぎます。

 カルシュームは骨を硬くしますが、骨を伸ばすのはたんぱく質です。牛乳をたくさん飲むだけでは身長は伸びません。野菜やたんぱく質などを多くしたバランスの良い食事を楽しく食べることが身長に良い結果を生みます。また、十分な睡眠も必要ですし、適度な運動は骨を刺激し、身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともあり、負担がかからないような工夫が必要です。特別に効果が良いスポーツはありませんが、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。

1、主な原因
1)成長ホルモン分泌不全症
 成長ホルモンは骨を伸ばしたり、筋肉を増やす力があります。このホルモンが少ない場合は身長の伸びはかなり悪くなります。

2)甲状腺機能低下症
 甲状腺ホルモンは身体の活動性を高めます。低下症では足がむくんだり、便秘、日常生活の活動性が低下し、低身長になります。

3)骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気
 低身長の治療は可能な場合があります。

4)思春期早発症
 7歳までに乳房が大きくなるなど思春期が早く来すぎると、子供の頃の身長は大きいのですが、身長が早く止まりますので最終の身長は低くなります。早期であれば治療可能です。

5)愛情遮断症候群
 子供が愛情に飢えてストレスを感じると身長の伸びが悪くなります。

2、治療
 成長ホルモンや甲状腺ホルモンが少なければ、足りない分だけのホルモンを補充します。補充することによって身長が伸びる以外にも全身状態を正常化し、体の働きも活発化させます。



2009年 2月22日 放送
赤ちゃんの抱っこと抱きぐせ


 赤ちゃんは抱っこされると、抱っこした人の温かみや体動を感じることで自分は守られていると感じ、安心します。抱っこされないで育つと情緒が不安定な子に育つといわれます。親は赤ちゃんの温もりや体動を実感し、一体感を感じます。

 赤ちゃんは不快な気持ちや欲求や甘える気持ちで泣きます。泣くのが一番の手段だと子どもはよく理解しています。

 抱っこしている時には機嫌が良かったのに床に下ろすとぐずるたり、泣いたりする赤ちゃんを「抱きぐせがついた」と表現します。赤ちゃんは気持ちの良い所から別な所に移されるわけです。寝かされて暑いのかもしれません。この赤ちゃんは抱っこが大好きなのかもしれません。抱っこの大好きな赤ちゃんには抱っこをしてあげて下さい。抱きぐせなどつくはずはありません。忙しくて抱っこできない場合でも、ほほずりをしたり、「忙しいから待っててね」など話かけてあげて下さい。

 以前は背中におぶう「おんぶ」ばかりでした。子は母親の背中にしっかりと触れているので保温効果が得られ、安定感があり、子どもには心の安定が得られます。また、親は両手が自由に使えて仕事が出来るという利点もありました。最近は前方で、母親と対面した形で抱っこされる「前抱っこ」が多くなりました。「手は使いにくいのですがお互いの表情が見られて便利です。ただ、赤ちゃんにスリングなどを使用する場合では足の動きを制限しないようにしなければ股関節脱臼が起こりやすくなり、足の長さの左右差や股関節の変形が将来生じたりしますので注意は必要です。

 どんなに抱っこをしてあげても甘やかすことにはなりません。何か嫌なことがあって泣いている時は抱きしめて慰めてあげてください。落ち着きのない子、よく泣く子、かんしゃくをおこしやすい子、赤ちゃん返りした子では特に抱っこが必要です。「こんなに愛しているよ」「こんなに心配しているよ」と気持ちを込めて抱いてあげて下さい。声をかけてあげて下さい。子どもとお話をしてあげて下さい。小学生になってからでも、抱っこが必要な子には抱っこをしてあげて下さい。抱っこは子どもの心を豊かにし、安定させます。



2009年 1月25日 放送
予防接種


病気にかかりたくはありませんし、他人にもうつします。保育園、幼稚園、学校を休まなければなりません。予防できる病気は予防し、かかった病気は発病後早期から治療を行うことが一般的です。

 ワクチンは生ワクチン(病原性を弱めているが生きている)と不活化ワクチン(生きていない)などに分類され、病気にかからない、または感染しても重症化を防ぐことが出来ます。ワクチン自体にも副反応はありますが、実際に病気にかかれば大変です。予防は治療に優ります。個人の健康被害のみならず病気の流行を阻止し、医療費の抑制にも役立ちます。

 ただ、予防接種の効果は実際に病気にかかって獲得する抵抗力に比較すると弱く、効果の持続性も短くなります。ただ、病気が毎年のように流行しているわが国では、効果は長期間十分続きます。

 急いで複数のワクチンを接種したい場合、一度に数種類のワクチン接種が可能です。ワクチンの特徴を考えればスケジュールは多少変更できます。小児科専門医にご相談下さい。

 発熱や機嫌が悪い場合は接種を延期します。ワクチン自体にも副反応はありますが、実際に病気にかかれば大変です。ワクチンの成分に強いアレルギーがある人は専門の小児科病院で相談して下さい。

 数年前から大学生や成人での麻疹感染症が問題となっております。学生の麻疹発症で大学がしばらくの間ですが閉鎖します。アメリカ、ヨーロッパ、韓国などの先進諸国では麻疹の発生はほとんどありませんが、日本では大流行にはなりませんが、麻疹が頻繁に発生しており、外国からは日本は麻疹という病気の輸出国であると指摘され、ワクチン行政の遅れが世界的に非難される状況でした。そこで日本から麻疹を撲滅する事を目標に平成18年4月から1歳児と幼稚園の年長児(小学校就学前1年間)の2回に麻疹・風疹混合ワクチンを接種する事に決めています。さらに平成20年4月から5年間のみですが、中学1年生と高校3年生にも接種する事になりました。






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