2018年 12月23日 放送
インフルエンザ


 咳などを介して伝播、流行し、高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが流行し、ウイルスは大小様々な変化を常におこしますので毎年感染しますし、一冬で2、3回発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、39℃程が2〜7日間続き、高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)などによる異常行動が生じやすくなります。けがをしないように注意して下さい。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナール、コカールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もありますので、病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。
 脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は発症2日までの使用で症状を軽くしますが、使用しなくても4、5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると脳細胞から化学物質が過剰に放出されるため、神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。





2018年 11月25日 放送
成長痛


 成長痛とは、3歳〜10歳頃までの子どもに発症しやすい原因不明の下肢の痛みを言います。子どもの10~20%に生じ、一般的に30分から1時間程度続くことが多く、主に夕方遅くから夜中にかけて発症します。下肢の痛がる部分に腫れや発赤などはなく、痛みが治まればケロッとして走り回ります。
成長痛は強い痛みを訴えますが、骨や関節、筋肉に全く異常がないという症状に対して診断されるもので、成長期での骨や関節が伸びるために痛みが出現するわけではありません。足をぶつけたり、捻じったりというような覚えはなく、腫れ、圧痛、発赤などもなく、病院で検査しても異常がみつかりません。遊び疲れ、身体を動かしすぎ、精神的な不安やかまってほしい欲求などが原因と考えられています。昼間に飛び跳ねて遊んで、筋肉を使いすぎて夜になって筋肉痛として現れてくるという説明が一般的ですが、精神的なストレスが痛みとして現れる心と身体の関係も考えられています
 成長痛は長時間続かず、さすったり抱っこをして落ち着かせたりすれば自然と治まり、痛みを訴えた翌日には飛んだり跳ねたり出来る状態になりますし、1〜2年間程で訴えなくなります。マッサージやさする、両手で優しく包む、温める、冷やす、優しい声がけ、気分転換、しっかり身体を休ませるなどが対応策となります。
ただ、スポーツをやっている子どもの場合では練習量が多すぎて肘や膝などを障害する場合もあります。子どもの骨の端にある骨端軟骨は軽い運動であっても、同じ動作を繰り返すことで関節や骨端軟骨に負担がかかり炎症や骨折が生じて痛みが出ることがあります。こうした状況では激痛の出現のみならず、その部位の骨の成長が止まったり変形したりすることがあり、将来に障害を残してしまうことがあります。激痛や持続する痛みの場合は専門医に診てもらって対策を講じる必要があります。





2018年 10月28日 放送
熱傷(やけど)


 高温の場合は発赤や腫脹が出現し、腫れや水疱が数日間進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になり、皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。
 出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えることが出来ますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなど、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱の皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和し、水疱液には皮膚再生を促す成分が含まれていますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合は軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。水疱ができた場合や範囲の広いやけどは受診して下さい。
 深い熱傷では傷跡が残りますが、浅いやけどの場合でも赤みや茶色の色素沈着が残る場合がありますので紫外線対策の遮光は有用です。
 口や鼻の周りのやけどの場合は、皮膚はたいしたことがなくても、熱い気体や水蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、喉を痛がる場合は早期の診察が必要です。
 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも皮膚の同じ場所に長時間熱が加えられると低温熱傷が生じますし、小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、熱中症になります。





2018年 9月23日 放送
熱性けいれん


 熱性けいれんには@手足が硬直してピーンと突っ張り、眼球が上転し、口から泡を吹き、呼吸が一時的に止まり、顔色が悪くなる強直性けいれんとA手足や顔の筋肉などがリズミカルに屈曲伸展を繰り返す間代性けいれん、B数秒から数十秒間の強直性けいれんに続いて間代性けいれんが続く強直間代性けいれんの3つのタイプがありますが、ほとんどは左右対称性の強直間代性けいれんです。けいれん中は意識が消失していますので、呼びかけ等には反応しません。
 発症には発熱、体質、年齢の3つの要素が関係しているといわれ、生後6か月から6歳頃までの子どもに多く、2〜5%の子におこります。脳に後遺症は残しませんし、ほとんどの子は1、2回しかおこしません。けいれんが5分以上続き止まりそうにない場合や発熱持続中に2回以上のけいれんが出現した場合、意識障害や麻痺が残る場合などの他、周囲がパニックになっている場合では受診が必要で、救急車の要請も考慮して下さい。予防接種はすべて可能で、ワクチンで病気を予防して下さい。 
 動きが激烈ですので周囲がパニック状態になる状況は理解できますが、けいれんはすぐに止まりますので、落ち着いて下さい。強く抱きしめたり、押さえたりして、力ずくで止めようとしても止まりませんし、身体を揺さぶるなどの強い刺激はけいれんを止まりにくくする場合があり、止めて下さい。呼吸が楽になるように首の周りなどの服をゆるめ、平らで安全な場所に寝かせ、嘔吐した時に吐物を肺に誤飲しないように、 顔を横にしてあげて下さい。舌を噛むのを恐れて口にタオルや指、お箸などを突っ込むことも困ります。まず、舌を噛みませんし、発作が始まれば何をしても手遅れです。タオルの場合は口腔内を塞って窒息、指は噛まれて大けが、お箸では口の中を傷つける可能性があり危険です。子どもの状態が元の状態に戻るまで静かに見守ってあげて下さい。15分間以上のけいれん持続や左右差のある発作、発熱期間中に複数回の発作が反復したなどの場合は、その後の発熱時に再発予防策を考慮します。





2018年 8月26日 放送
包茎(ほうけい)


 包茎はちんちんの皮(包皮)が亀頭を覆っている状態をいいます。出生時の男児は全員が包茎であり、ちんちんの皮がむけているのは尿道の病気を疑います。第2次性徴での男性ホルモンでちんちんが発達して、勃起時に自然に亀頭が露出するようになります。それまでは亀頭と包皮が癒着しているのが普通です。15歳頃からは包皮はスムーズにむいて下げられるようになり、その後に普通でも亀頭が露出するようになります。思春期が過ぎるまでは包茎が普通です。
 包皮と亀頭の間には分泌物や剥離した細胞が溜まった黄白色の軟らかい恥垢があります。黄白色の丸いチーズ様の塊のようになる場合もありますが、病的なものではなく、成長に従い自然に消失します。
 子供のちんちんの皮をむいてよく洗った方が良いという人がいますが、恥垢は無菌であり、不潔でもありません。無理に皮をむいてゴシゴシ洗う必要はありません。亀頭と包皮は癒着していることが多く、痛くてかわいそうです。子供では細菌が付いて亀頭が腫れる亀頭炎をよくおこしますが、数日の抗生剤の服用で治ります。包茎はちんちんの発育を妨げませんし、恥垢が陰茎癌の原因になるという根拠もありません。包皮は小児期では弱い亀頭を外的刺激や外傷から守っていますし、性的刺激を感知する機能は包皮にありますので無駄な部分ではありません。
 包茎口が狭すぎて尿がポタポタしか出ない場合は治療が必要ですが、それ以外の普通に排尿できている包茎の治療は不要です。治療が必要な場合でも、非常に特殊な包茎の場合以外は手術による包茎切除の必要はありません。1〜2か月かけて軟膏を包皮口から塗りこんで包皮をむく方法があります。包茎が心配な人もこの方法を試して下さい。ただ、包皮をむかなければならないわけではありません。





2018年 7月29日 放送
子どもの外遊び、夏太り


 夏に外で遊ぶと熱中症や日焼けなどの心配があります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、メタボリック症候群の予防にもなります。気候を感じ、怪我をして痛みを知る、友達と遊ぶことで協調性が養われ、ストレス発散の手段としても非常に有用です。日頃からの外遊びや運動で汗をかく習慣は体温調節機能を向上させ、夏バテや熱中症の予防にも役立ちます。
 紫外線は、皮膚の細胞を傷つけ、日焼けを作り、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。紫外線で遺伝子が傷害されても、自動的に修復されます。また、日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくする機能を持っています。急に強い紫外線は困りますが、日頃から外遊びをさせて紫外線や暑さに慣れさせて下さい。外で遊ぶときに帽子や涼しい衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で防御する必要はありますが、極端な紫外線対策は不要と思います。
 空調の効いた快適な部屋でジュースやお菓子、ゲームやテレビ三昧の子どもが多くなり、「夏やせ」ではなく「夏太り」という状況に変わってきています。また、長時間のメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)も問題になってきています。
 ただ、外遊びやスポーツには多少の危険は伴いますが、経験になりますし、身体や精神を鍛え、思いやりや心の規範意識を育てます。公園などでは禁止事項が多くなり、大声を出してボールなどを追いかけられる場所も少なくなりましたし、異年齢間の交流や群れて遊ぶことも少なくならざるを得ない環境にありますが、危険防止や熱中症対策を心がけて楽しい外遊びをさせてあげて下さい。






2018年 6月24日 放送
夏の食中毒


 ヒトは100兆個以上の細菌と共生し、通常は細菌を食べても病気にはなりませんが、食中毒を起こしやすい細菌があります。
 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。

2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。

3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。

4)腸管出血性大腸菌(O‐157など)
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。

5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。





2018年 5月27日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境やスポーツ活動などで体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなる状態です。
 7月下旬の梅雨明け直後に多く発症しますが、夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。室内でのスポーツも要注意です。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。
 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高くなります。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日の空調を止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。
 睡眠不足、運動不足などの体調不良は熱中症を起こしやすいため、スポーツ活動ではこのような状況を極力避けるようにして下さい。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。水分補給はこまめに行なって下さい。イオン飲料水を半分に薄めたものが適しています。
 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。
 子供の顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要です。





2018年 4月22日 放送
子どもの健康チェック


 5月5日はこどもの日です。元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。入学や新学期での環境の変化に慣れていないためにストレスがかかっている子もいますのでサポートしてあげて下さい。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。家族や他人にも感染させません。保育園、幼稚園、学校を休まなくても済みます。ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンは生後2か月から開始。日本脳炎ワクチンは7歳半までですが、19歳までが経過措置で無料になる子もおります。麻疹風疹ワクチン、4種混合ワクチン、水ぼうそうワクチン、子宮頸がん予防ワクチンも接種出来ます。有料ですがおたふくかぜなどのワクチンもあります。無料の定期接種は接種時期や方法が細かく規定されています。接種スケジュールが複雑ですので小児科専門医か保健所に相談して下さい。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。治療は必要か、どのような治療法があるのかを理解することが大切です。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。






2018年 3月25日 放送
低身長


 低身長は学校ではいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあります。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が経過して、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。一般的に、身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、早く止まる子もいます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 体質のための低身長もありますが、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症などのホルモンが不足する病気が原因の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。





2018年 2月25日 放送
赤ちゃんの夜泣き


 寝る前までは機嫌も悪くなかったのに、夜中に急に泣きだして泣きやまず原因が不明なものを「夜泣き」といっています。生後3か月頃から始まり、6か月〜1歳頃の赤ちゃんに多く見られ、1歳半頃から自然としなくなっていきます。「夜泣き」は病気ではなく、成長につれて治っていきます。乳幼児は眠りたい時に眠り、起きたい時に起きる生活ですので、元気で睡眠不足にはなりませんし、成長や健康に悪影響を及ぼしません。
 毎日のように夜泣きをされると親は無力感と睡眠不足で疲れ果ててしまいます。7割程のお母さんが経験しています。夜泣きは赤ちゃんの成長の過程と捉え、あきらめて付き合っていくしかなく、2歳頃までの我慢です。風邪などの原因チェックは必要ですが、泣き止めばラッキーと思って、寝たふりをする、あやす、オムツのチェック、添い寝、涼しくする、おっぱいやミルクを与える、外に連れ出すなどその都度試みて下さい。
 お母さんは家族に頼って睡眠時間を確保し、息抜きをして下さい。夜だけの卒乳も良いかもしれません。ママ友達とのおしゃべり、育児サークルやイベントへの参加、保健師や小児科医への相談も良いと思います。自分なりの対策を見つけて下さい。
 周囲の協力を得る、子どもを預けて短時間でも外出をする、子どもと一緒に楽しめる施設に行く、家で気分転換をする、パァーッと買い物をする、しゃべる、テレビやDVDを見て泣くなど自分なりにストレスを解消して下さい。また、インターネットや育児書にある「子どものための・・、育児のための・・」という無責任な文章を信じるのは半分以下にして下さい。理想と現実は異なりますし、育児書などで理想とされていることが必ずしもその子にとって良い結果を生むとは限りません。自分の可能な、無理をしない範囲での子育てで十分という割り切った考えを持って下さい。子どもはよほどのことがない限り健康に育ちます。





2018年 1月28日 放送
乾燥肌


 生後6か月頃から思春期までの肌は性ホルモンの関係で乾燥します。冬の空気が乾燥する時期はさらに乾燥し、暖房や布団に入って温かくなると痒みが増してイライラや不眠の原因になります。
 お風呂ではベビー石鹸や木綿のタオルなどでやさしく洗って痒みの原因となる汗やあかを落とし、石鹸をよく洗い流すようにして下さい。石鹸分が残ると痒みが増しますし、かぶれの原因となります。また、タオルでゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけ、皮膚の機能を破綻させ、よけいに悪化し、痒みが増します。入浴温度も39℃程度にして、入浴後は体温が少し落ち着くまで待ってからゆっくりパジャマを着せて下さい。乾燥が強い場合には入浴後に保湿剤の塗布も必要です。
 直接肌に触れる下着などは吸湿性の良い木綿のものを1、2回洗って柔らかくしてから使用して下さい。抱っこする人の服なども含め毛糸などの刺激が赤ちゃんや子供の肌に直接触れないようにして下さい。服を着せすぎると汗をかいて痒くなりますので、薄着にして下さい。ヒートテックの下着は汗をかきやすくなりますし、かぶれやすい子がいます。
 アトピー性皮膚炎は遺伝、体質、ストレス、友人関係、生活環境、アレルギー、感染、日光、食事、ほこりやダニなど多くの因子が悪化に関係しています。血液検査で原因を探すことは不適切です。食物制限は食べれば皮膚の症状が悪化する食物のみに限定して下さい。極端な食物制限は発育異常をおこしますし、皮膚炎を悪化させる可能性もあります。
 スベスベの肌にする必要はありませんが、皮膚を傷つけたり、不眠は困ります。保湿作用のある軟膏を使用し、赤みが強い時は炎症を抑える軟膏も必要です。掻くと皮膚のバリア機能が低下し、保湿機能が低下し、刺激物質が皮膚内に侵入しやすくなり、症状が悪化します。スキンケアが大切です。痒みの強い時には痒みを抑える内服薬も併用して下さい。





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