肝臓に障害を与えるものにはウイルスや毒素、肥満などがあります。子供の肝臓は予備能力や再生力は強く、早期に原因を除去すれば完全回復します。
1、肝炎ウイルスとは
A型、B型、C型、D型、E型と呼ばれる肝炎ウイルスがありますが、D型とE型は日本では稀です。A型は食物(日本では少ないですが牡蠣などの2枚貝)、B型とC型は血液(ウイルスを持った母から子、ウイルスを含む血液など)を介して感染します。
2、慢性になりやすいウイルス
A型肝炎はそのウイルスに汚染された貝を加熱不十分で食べて発症しますが、慢性にはなりません。しかし、B型とC型のウイルスでは一旦感染するとキャリアといわれる、ほぼ一生涯肝臓中にウイルスを持つ場合があります。この状態でも肝炎を一生おこさない人も多いのですが、一部の人は慢性肝炎、肝硬変、肝癌といった経過をとります。
3、キャリアになぜなるのか
抵抗力が弱い乳幼児に感染した場合や体の防御機能がウイルスを排除できない場合に肝臓の中にすみつきます。B型では5、6歳頃までは感染するとキャリアになる可能性がありますが、それ以降の年齢ではキャリアにはまずなりません。C型はウイルスが排除されにくく、成人の感染でもキャリアになる可能性があります。
4、キャリアにならないために
キャリアの母や父から子、感染した血液の輸血、汚染された針の再使用などが感染の原因です。B型肝炎ウイルスの場合はワクチンで感染をほぼ完全に予防できます。親がキャリアの場合は子供にワクチンを生まれてすぐから接種して下さい。親子が安心して接し、遊べます。
C型肝炎ウイルスの場合はワクチンがなく、予防は出来ません。しかし、キャリアの母から子への感染率が5〜10%で、血液以外で感染する危険性はまずありません。
5、キャリアになってしまったら
BやC型の肝炎ウイルスを排除することは困難ですが、肝炎の薬やインターフェロンなどのウイルスを排除する薬があります。肝臓にウイルスがあっても肝障害の無いことが多く、子どもでは肝硬変などにはまずなりませんが、元気であっても年に1〜2回の肝機能検査をお勧めします。
1)食事や運動について
食事や運動に制限は全くありません。バランスの良い食事をして下さい。運動の制限もありません。肝機能が多少悪くてもクラブ活動などは大丈夫です。
2)他人への感染は
幼稚園や学校、日常生活の中で、他人へ感染させる心配はありません。
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