2006年 12月24日 放送
嘔吐下痢症4


 下痢は生活環境や栄養の改善の結果、発症が減少し、軽症で治ることが多くなりました。ただ、嘔吐下痢症は乳児では脱水を伴いやすいという特徴がありますので要注意です。

1、原因
 ロタウイルスやノロウイルス、腸管アデノウイルスが主な原因です。ロタウイルスやノロウイルスは毎年冬季に流行し、腸管アデノウイルスは年間を通じて発症します。各々にはタイプが多くあり、毎年かかりますし、一冬に2回以上かかることもあります。

2、症状
 頻回の嘔吐と下痢です。ロタウイルス、アデノウイルスは乳幼児に多くみられ、ノロウイルスは全年齢に認められます。微熱が1日程度認められることもあります。嘔吐は半日から丸1日で治まります。
 下痢はノロウイルスでは2〜3日、ロタウイルスや腸管アデノウイルスでは4〜5日間続きます。淡黄色や白っぽいクリーム色の水様便が特徴です。感染しても発症しない場合や、軽度の腹痛や軟便程度の症状で終わることもあります。

3、治療
 下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に下痢を止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。嘔吐を抑える薬を使用することもあります。
 嘔吐や下痢がひどく、口の中が渇いてきたり、ぐったりするなど脱水が疑われる場合には点滴による水分補給が必要です。

4、食事の与え方
 初期の嘔吐や嘔気のある間だけは食事を止め(食べても吐いてしまいます)、ごく少量(コップ1/4〜1/3程度の嘔吐しない量)のイオン飲料水やお茶を頻回に与えて下さい。その後徐々に1回量を増やしていくようにします。イオン飲料水が十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。

5、予防
 感染者の嘔吐物や下痢便の中にウイルスが存在します。嘔吐の場合は嘔吐物が周囲に飛び散り、ウイルスも飛び散ります。嘔吐物や便に触った後は石鹸を使って流水で手洗いを丁寧にしてください。嘔吐物が周囲への伝染の原因となりやすいですので、なるべく嘔吐させないような工夫が重要です。

 塩素系の消毒薬や漂白剤、85℃で1分間以上が有効とされています。アルコールなどは効果がほとんどありません。



2006年 11月26日 放送
乾燥肌4


 生後6か月から思春期までの皮膚は乾燥しやすく、空気が乾燥する冬の子どもの皮膚は乾燥しているのが普通です。春になって暖かくなれば乾燥肌は治りますので、それまでの我慢です。しかし、皮膚のカサカサがひどくなると布団に入って温もると痒くなり、イライラや不眠の原因になります。
 汗やあかは痒みの原因となります。お風呂ではその子にあった石鹸をやさしく使って汗やあかを落とし、石鹸をよく洗い流すようにして下さい。タオルでゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけ、皮膚の機能を破綻させ、よけいに悪化し、痒みが増します。
 直接肌に触れる下着などは吸湿性の良い木綿のものを1、2回洗って柔らかくしてから使用して下さい。抱っこする人の服なども含め毛糸などの刺激が赤ちゃんの肌に直接触れないようにして下さい。
 アレルギー状態を呈する遺伝的な素質をアトピーといい、アトピー体質を持っている子供にできる慢性の湿疹をアトピー性皮膚炎といいます。皮膚の乾燥とバリア機能の破綻が基礎にあって、遺伝、体質、ストレス、生活環境、感染、日光、食事、ほこりやダニなど多くの因子が悪化に関係しています。

1、食事
 食物制限は皮膚炎がひどい場合にのみ考慮します。食事だけを考え過ぎないようにして下さい。
 原因を調べるために血液検査などが行われますが、検査で陽性と出た食物を食べても全く症状が出ないこともありますし、生や半生の食品はだめでも、完全に加熱したものでは症状が出ないこともあります。極端な食物制限は発育異常をおこします。

2、ホコリ、ダニ
 生活環境を整備して、ホコリやダニを減らすことは大切ですが、限度があります。こまめに掃除をし、部屋の換気を良くする、ほこりの出やすいものを止めるなどで十分と思います。

3、薬
 スベスベの肌にする必要はありませんが、痒くて落ち着きがない、不眠は困ります。入浴後に塗ると乾燥した肌に水分を保たせる保湿作用のある軟膏があります。赤みが強い時は炎症を抑える塗り薬も必要です。掻くと皮膚のバリア機能が低下し、症状が悪化します。痒みの強い時には痒みを抑える内服薬も併用して下さい。あせらず気長に治療することが大切です。



2006年 10月22日 放送
乳幼児の水分補給2


 水分補給というのはお茶やイオン飲料水の水だけではありません。ご飯やおかず、果物、お菓子の中にもかなりの量の水が含まれておりますし、母乳やミルクも80%以上は水分です。母乳やミルク、食事を十分食べていれば、水分の摂取量は十分であり、通常は特別な水分補給まで考える必要はありません。

1、水分補給を考慮すべき状態
 子供は発熱や嘔吐、下痢を伴う病気によくかかります。熱や嘔吐、下痢では体外に失われる水分が多くなり、また食欲もなくなり体内に入る水分が少なくなりますので脱水状態になりやすくなります。こういった場合は食事以外の水分補給としてお茶、お白湯、その子の年齢にあったイオン飲料水を考慮する必要があります。

2、脱水症の症状
 脱水になると口唇や口腔内が乾燥し、尿量が減少してきます。進行すると元気がなくなり、意識がはっきりしなくなり、痙攣なども生じます。元気で、口唇や口腔内がみずみずしく、尿は多少減少する程度であれば問題はありません。口唇や口腔内が乾いてきたり、尿が出にくくなりだしたら早く小児科専門医を受診してください。

3、水分補給の方法
 発熱や嘔吐、下痢の原因をまず探しますが、嘔吐が強い場合、食事はいったん中止し、お茶やその年齢にあったイオン飲料水に限定し、水分が普通に飲めるようになってから食事を再開します。最初の水分は少量から開始します。脱水を心配して大量の水分を一度に飲ませようとするとよけいに嘔吐します。下痢の場合は牛乳やジュース、乳製品は止めるか少なくしてが、消化の良い普通の食事を食べて下さい。飲み物はお茶やイオン飲料水ですが、嘔吐や下痢が治ればイオン飲料水は止めてください。虫歯や肥満の原因になる可能性があります。

 嘔吐や下痢のひどい場合は点滴での水分補給が必要です。



2006年 9月24日 放送
発熱4


 乳幼児では1年間に5〜6回の発熱のあるのが一般的です。子どもの高熱は心配ですが、風邪の高熱のみでは脳に障害を残すことはありません。発熱は細菌やウイルスに対する生体の防御反応の1つで、脳が体温を高く保つようにコントロールしているためです。病気に負けて熱が出るわけではありません。

1、発熱時の対応
 体温が急に上昇する時には、手足が冷たくなり、寒気を強く訴えることがあります。この時は体を温めてあげて下さい。それ以外の時は、薄着で、涼しい気持ちの良い環境つくりを心がけてください。食欲も出ますし、機嫌が良くなります。発熱時は水分補給が重要です。食べられるものから食べさせてください。食べ物も水分です。機嫌が良ければ短時間での入浴は可能です。熱が高ければ水枕で頭などを冷やしたり、おでこにシートを張りますが、気分を良くする効果はありますが体温は下げません。子供が嫌がれば止めて下さい。熱が高くても機嫌が良い場合はあせる必要はありませんが、機嫌がかなり悪い、ぐったりしている、呼びかけに対する反応が悪い(意識低下)などの場合は救急で小児科専門医のある病院を受診して下さい。

2、解熱剤の使用
 解熱剤は熱を下げて子供の機嫌を良くしますのでありがたい薬ですが、病気は治しません。解熱剤の使用は熱のために機嫌が悪い時や寝てくれないなどの時に限定し、アセトアミノフェンを使用します。インフルエンザの時はアセトアミノフェン以外の解熱剤は脳炎・脳症などとの関係が指摘されていますので使用しないで下さい。総合感冒薬(風邪薬)にも解熱剤は入っていますので病院の薬や薬局で買った薬は内容をチェックして、不明な場合は使用しないで下さい。



2006年 8月27日 放送
子どもとビタミン


 ビタミンは自分で作ることができないため、食事などで補給をしなければならない物質で、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)と水溶性ビタミン(B1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、パントテンサン、ビオチンのB群ビタミンとC)に分けられます。

1、主なビタミン欠乏症
 ビタミンAは欠乏とする夜盲症(トリ目)になり、 急に暗い場所に入ったとき、目が暗さに慣れるまでに長く時間がかかります。
 ビタミンDはカルシウムに関係し、 乳幼児期に不足すると背骨や足の骨が変形したり、頭の骨が薄くなる「くる病」になります。
 ビタミンKが欠乏すると出血が止まりません。新生児にはビタミンKを投与します。
 ビタミンB1の欠乏症は下肢などの疲労感、知覚異常、神経麻痺、進行すれば心不全などの症状を呈する脚気(かっけ)です。スポーツドリンクを多飲する子どもが偏食をしている場合などでは脚気症状が出ることもあります。

 ビタミンB6が欠乏すると、目・口・鼻の周囲の皮膚炎、貧血、乳児では痙攣です。

 ビタミンB12が欠乏すると貧血になり「悪性貧血」と呼ばれます。

 ビタミンCの欠乏症は歯肉の出血と腫脹、関節の腫れ、体の各部から出血する「壊血病」です。 歯ぐきからの出血が初期症状です。
 バランスのとれた一般的な日本人の食事ではビタミン欠乏症は生じません。色々な食物をバランスよく摂取するようにして下さい。ビタミン剤の服用は不要です。

2、ビタミン過剰症
 水溶性ビタミンは過剰に摂取しても、過剰分は尿の中にすぐに排泄され蓄積しませんが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されますので、摂り過ぎると、過剰摂取による副作用が出ます。野菜に含まれるビタミンAは多く摂っても皮膚の色が黄色くなるだけですが、その他のビタミンAの過剰では頭痛、皮膚の乾燥などの他、妊娠3か月までの過剰摂取では胎児に奇形が起きる率が高くなります。ビタミンDの過剰では吐気、頭痛、ひどくなるとカルシウムが体に貯まり障害をおこします。通常の食生活のなかではビタミン過剰症を心配する必要はありませんが、ビタミン剤、サプリメントなどで多量に摂取するときは過剰症への注意が必要です。



2006年 7月23日 放送
夜尿症(おねしょ)


 雨の日の布団干しは困りますが、夜尿では健康を害しませんし、家族以外に迷惑もかけません。幼児では全員が夜尿症ですが、年齢が大きくなると、膀胱にためることが出来る尿の量が多くなり、睡眠リズムが安定して夜間の尿量が減少する結果、夜尿は徐々に治っていきます。ただ、小学生でも数%ともいわれ、夜尿をしている子供は意外と多いのです。
 夜尿には@睡眠中の尿の量が多いために漏らしてしまうタイプがあります。尿量を減少させる作用のあるホルモンの夜間の分泌が不十分なのが原因ですが、年齢が大きくなると共に睡眠リズムが安定してきますので、ホルモン分泌が良くなり治ります。A膀胱が小さくて、十分な尿がためられないため漏らしてしまうタイプもあります。年齢とともに膀胱も大きくなり、また排尿を抑制する能力が強くなりますので治ります。
 季節的には、夜尿は冬に悪化し夏に改善します。

1、生活指導
 大きくまとめると@しからず、Aあせらず、B起こさずです。@ 無意識に行っているので、しかられても本人はどうしようもありません。A長期戦です。未熟な機能がゆっくり発達してくるのを待つ必要があります。B夜尿のおこりそうな時刻に起こして排尿させるという方法は、その時刻になると無意識に排尿するといった習慣がつく可能性があります。また、夜間の膀胱容量も大きくなりません。睡眠リズムを崩しますので、熟睡やホルモン分泌などにも影響します。

2、対策
 機能の発達は年齢を待つしかないのですが、夜間の尿量を減少させ、排尿抑制機能を高めることは可能です。@飲んだ水分は3、4時間で尿になりますので、入眠数時間前から水分制限をします。A塩分をたくさん摂ると水分摂取の増えて尿量が増加しますので夕食は薄味の食事です。B腎臓や尿管に異常がある場合を除いて、昼間におしっこに行きたくなっても可能な限り我慢して膀胱を大きくします。C上記の対応を行っても効果が得られない場合に薬を使用します。小児科専門医にご相談下さい。



2006年 6月25日 放送
起立性調節障害


 寝ている状態から起き上がると、重力の影響で血液が下半身にたまり、脳に供給される血液の量が少なくなりますので、立ちくらみや脳貧血などの症状が出るはずですが、我々の身体は交感神経という自律神経を働かせて、下半身の静脈を収縮させて脳への血流を保つようにしています。この病気の子ではこの交感神経の働きが弱いため、朝起き上がると脳貧血の状態になり、朝に体の調子が悪く、午後になると調子が良くなってきます。午前中は学校へ行けない。朝起きられず遅刻する。午前中はぼんやりしていて授業についていけません。しかし、「学校へ行きたくない」ではなくて「学校へ行けない」のです。

 この病気は小学校の高学年から高校生にかけての思春期前後に起こりやすく、まじめで、一生懸命にやる子どもに多いとも言われます。

 症状は@朝なかなか起きられない、A朝に調子が悪く(しんどい、頭痛、腹痛など)昼ごろから良くなる、B立ちくらみを良く起こすなどです。午前中に調子が悪く、夕方からは調子が良くなり、夜遅くまで起きている子が多く、また思春期前後の子どもに多いことから、登校拒否と間違えられる子供もおります。サボりたいのではなくて学校へ行けないのです。本人のしんどさを理解してあげてください。この病気は子どもの成長とともに一旦は症状が強く出るようになりますが、身長の伸びが止まる頃からは徐々に改善してきます。それまでは本人や周囲が理解して、あせらず気長に体調を整える努力が必要です。ストレスで症状が悪化しますのでストレスを取り除く方法を考えたり、軽度の運動を続ける、夜更かしや朝寝坊の生活習慣の改善を行う、朝早く起きて学校に行くまでに時間をかけて体調を整えるなども治療法ですが、薬もあります。思春期の終わり頃には自律神経の発達も良くなりますので自然に治ります。ただ、基本は周囲がこの病気のことを理解し、適切な精神的サポートを早期から行うことです。子どもを理解してあげてください。



2006年 5月28日 放送
熱中症(暑熱障害)


 気温による体の外の暑さや、運動などで作られた体の中の熱さが体の適応範囲をこえたために、水分や電解質の代謝がうまくいかなくなった状態です。水分をたくさん必要とする小児のほうが熱中症は起こりやすくなります。重症になると死亡します。
 熱中症は、熱波によって主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。
 季節的には7月下旬から8月上旬の梅雨明け直後に多く発症しますが、夏以外でも急に暑くなったときにも起こります。体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのは当然ですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。暑熱障害は少しの気配りで予防できる病気です。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。

1、熱疲労
 大量の発汗により、脱水や電解質の喪失をきたし抹消の血液の循環不全をきたした状態です。脱力感、嘔吐、頭痛などがおこります。涼しい所で休ませ、身体の冷却や水分補給をします。

2、筋肉の攣縮
 発汗のため電解質(ナトリウムとクロール)が喪失したために、筋肉の興奮性が亢進して生じる下肢を主とした筋肉の攣縮で痛みを伴います。下腿のふくらはぎ(ひ腹筋)のこむら返りがよくおこります。電解質の含まない水分の補給ばかりをした場合に起こりやすくなります。電解質を含んだ水分の補給を行って下さい。

3、熱射病(中等症、重症)
 体温が異常に上昇し、熱自体や熱による血液の循環不全により、全身臓器の障害が生じた状態です。おかしな言葉や行動、けいれん、意識障害などが生じます。肝臓や腎臓の機能不全も生じます。

対応
 睡眠不足、運動不足などの体調不良は暑熱障害を起こしやすいため、スポーツではこのような状況を極力避けるようにして下さい。服装は通気性の良いものを使用し、帽子をかぶって下さい。水分補給はこまめに行なって下さい。水分は塩分と一緒だと吸収が早くなり、糖分が含まれると体の回復が早くなります。スポーツ飲料水を水で半分に薄めたものが適しています。

 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境と水分補給を十分に取ることが重要です。症状が出ている場合は、点滴や入院が必要です。



2006年 4月23日 放送
こどもの日の健康チェック


 入園、入学、進級などによる状況の変化にも慣れ、一段落した頃かと思います。明日は子供の日です。子供の全般についてゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。
 元気さ、健康状態、運動能力、知的な能力、行動、対人関係などチェックすることは色々です。小さなお子さんの場合はまず、母子手帳を開いてみてください。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 予防接種のページがあります。BCG、ポリオ、三種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア、百日咳)、麻疹、風疹、日本脳炎などのワクチンが無料で行われています。接種の開始時期は生後3か月、6か月、1歳とワクチンによって異なっていますが、接種は順調ですか。接種が早ければ早くから病気の予防が可能です。接種がまだの人は早く接種して下さい。予防接種の無料券は7歳半までしか使えませんので、この年齢を超えると有料となります。病気にかかりたくはありません。他人にうつしたり、治療法がなくて重症になる病気もあります。病気を予防するにはワクチンを接種して予防するしかありません。有料ですが、水ぼうそう、おたふくかぜなどのワクチンもあります。保育園や幼稚園を長期間休まれては困るなどの場合も接種して下さい。お父さんやお母さんも子供から病気をもらいたくなければワクチン接種を考慮して下さい。予防は治療に勝ります。

2)健康診断を受けていますか。身長や体重の伸びは順調ですか。
 生後4か月、10か月、1歳半、3歳などの健診があります。健診を受けていない場合や言葉、行動、運動などの発達で気になることがあれば小児科専門医にご相談下さい。健診、幼稚園や学校で測定された身長や体重を母子手帳の後ろのほうにある男女別の身長や体重を書き込めるグラフに子供の身長や体重の印をつけて下さい。小児科に行けば詳しいグラフがあります。自分の子供の身長や体重が平均に比べてどの位置にあるのか、また、それらの伸びはどうかなどがチェックできます。入園・入学式、運動会などで同級生に比べて非常に低い、高い、やせている、太っているなども参考になります。

 身長が非常に低い場合にはホルモンの分泌、かなり太っている場合には脂肪肝や糖尿病などのチェックが必要です。やせすぎも困ります。ほどほどが良いのです。低身長は薬で治療できる病気のことがあります。ただ、年齢が大きくなると治療不可能となります。低身長、肥満、やせは早期からご相談下さい。



2006年 3月26日 放送
低身長7


 同じ生年月日の子100人を身長順に並べると、前から2人は低身長症と診断され、治療で身長が伸びる可能性があります。クラス内で身長がかなり低い、あまり伸びないなど感じたら可能性が強くなります。小児科専門医に身長の経過をチェックしてもらって下さい。中学生や高校生になり、身長が伸びなくなると治療は困難になります。親、子が共に身長を理解し、治療の必要性や方法を理解することが大切です。
 身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、思春期の早い子では早く止まりますし、遅い子では遅くまで伸びます。
 カルシュームは骨を硬くしますが、骨を伸ばすのはたんぱく質です。牛乳をたくさん飲んだり、アミノ酸サプリメントを服用しても身長の伸びは増加しません。野菜などを多くしたバランスの良い食事を楽しく食べることが身長に良い結果を生みます。また、適度な運動は骨を刺激し、身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎると逆効果になり ます。負担がかからないように工夫をして下さい。特別に効果が良いスポーツはありませんが、楽しく適度な運動が良いと思います。

1、原因
1)成長ホルモン分泌不全症
 成長ホルモンは骨を伸ばしたり、筋肉を大きくする力があります。このホルモンが少ない場合は身長の伸びはかなり悪くなりますが、ホルモンの補充で身長は伸びます。

2)甲状腺機能低下症
 甲状腺ホルモンは身体の活動性を高めます。低下症では足がむくんだり、運動する気力が低下します。ホルモンを補充することで身長も伸びます。

3)骨の病気
 手足の骨の伸びにくい病気があります。成長ホルモンの効果が期待できる場合もあります。

4)ターナー症候群などの染色体の病気
 染色体自身を治療できませんが、低身長は治療可能です。

5)思春期早発症
 7歳までに乳房が大きくなるなど思春期が早く来すぎると、子供の頃の身長は大きいのですが、身長が早く止まりますので最終の身長は低くなります。早期であれば治療可能です。

6)愛情遮断症候群
 子供が愛情に飢えてストレスを感じると身長の伸びが悪くなります。

2、診断
 身長の発育経過、手の骨のレントゲンで骨の発育状況、血液検査で成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌能力などを調べます。

3、治療
 成長ホルモンや甲状腺ホルモンが少なければ、足りない分だけのホルモンを補充します。補充することによって身長が伸びる以外にも体の働きを正常化します。



2006年 2月26日 放送
予防接種法の一部改正


 入園、入学シーズンが間近に迫ってきております。必要なワクチンの接種はお済でしょうか。ワクチン接種で病気を軽くしたり、予防したりできます。誰も病気にかかりたくはありません。他人にうつしやすい病気もあります。保育園、幼稚園、学校を休まなければなりません。予防できる病気は予防し、かかった病気は発病後早期から治療を行うことが重要です。4月から麻疹と風疹のワクチンの接種方法が変わりますのでご注意下さい。

1、効果
 病気にかからない、または感染しても重症化を防ぐことが出来ます。予防は治療に優ります。個人の健康被害のみならず病気の流行を阻止し、医療費の抑制にも役立ちます。
 兄弟間での感染、親に感染し重症になる、母親の妊娠中に子供が風疹にかかり先天性風疹症候群(心臓、眼、聴力に異常が出る)について心配をするなどいろいろあります。かかっていない親は子と共に予防接種をすることも考慮して下さい。

2、効果の持続
 予防接種の効果は実際に病気にかかって獲得する抵抗力に比較すると弱く、効果の持続も短くなります。ただ、病気が流行しているわが国では、効果は長期間十分続きます。

3、予防接種の回数と間隔
 一般に麻疹や風疹などの生ワクチン(ウイルスが生きている)は1回の接種、三種混合などの不活化ワクチン(生きていない)などは効果が出にくいので数回接種します。1年後にも接種するのは効果を長期間持続させるためです。
 生ワクチン接種後は4週間、それ以外は1週間後に他のワクチンが接種可能です。

4、予防接種法の改正
 今まで1歳から麻疹(はしか)と風疹のワクチンを別々に接種していましたが、4月から麻疹と風疹の混ざったワクチン1回に変わります。そして年齢が大きくなるにつれてワクチンの効果が低下して、病気にかかることを予防するために、小学校入学前にもあと1回接種することとなりました。これに伴い、7歳半まで無料で接種できた麻疹と風疹のワクチンは4月から2歳以上の子には有料となります。1歳でも麻疹ワクチンを接種しているが風疹ワクチンを接種していない子でも風疹ワクチンの接種は有料となります。母子手帳をチェックして接種がまだの人は3月中に接種を済ませてください。不明な点は、保健所か主治医にお尋ね下さい。

 現在、接種を控えている日本脳炎ワクチンはもうすぐ新ワクチンが出ます。日本脳炎はまだ怖い病気です。新しいワクチンが出来次第接種して下さい。



2006年 1月29日 放送
インフルエンザ


 この冬は12月中ごろから流行が始まり、現在はA型が主流です。インフルエンザは高熱、寒気、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳などの症状を示し、年少児では脳炎・脳症が、高齢者では肺炎が問題となる病気です。かからないようにうがい、マスク、手洗いをお願いします。

1、インフルエンザウイルス
 流行するのはA型とB型です。A型は香港型とソ連型に大きく分類されますが、A型B型ともに毎年ウイルスが変化しますので、昨年に感染していてもまた感染します。

2、症状
 感染後1〜3日で急に発熱し、38〜40℃が4〜7日間続きます。一旦、熱が下がったように見えた後再度上がることも時々あります。他の「かぜ」に比べ症状が強いのが特徴です。
 流行の初期はA型が、遅くなるにつれB型が流行します。数種類のA型とB型といったように、一冬で数回インフルエンザにかかることもあります。

3、診断
 のどか鼻腔内の粘液で10分ほどで診断できます。粘液採取は痛いですが我慢です。

4、治療薬
 インフルエンザは薬を使用しなくても5日ほどで自然に治癒しますので、発熱が軽度で元気であればインフルエンザの薬は不要かもしれませんが、高熱や不機嫌な場合は薬が有効です。この薬はウイルスの増殖を抑える薬ですので、体内でウイルスがすでに増えてしまった後では効果が弱く、発熱出現後48時間以内(2日以内)の開始でなければ効かないとされています。早期に診断し、なるべく早く薬を服用してウイルスを増やさないようにするのが大切です。

5、脳炎・脳症
 意識の低下や長時間の痙攣が特徴です。脳に後遺症を残しやすい病気です。3歳までの乳幼児に生じやすく、発熱と同じ日や翌日になります。高熱だから脳炎・脳症になるわけではありません。熱だけでは脳に異常はきません。

6、解熱剤の使用
 ボルタレンやポンタールなどの解熱剤を使用した場合に脳炎・脳症が生じやすいとされています。その他にも脳炎・脳症をおこすやすいとされる解熱剤もあります。安全性が高いのはアセトアミノフェン(カロナールなど)のみです。解熱剤は一時的に(数時間)熱を下げる作用はありますが、病気そのものを治す力はありません。熱のため機嫌が悪く寝てくれないなど困る時に限定してアセトアミノフェンを少量使用するにとどめて下さい。薬局の風邪薬や病院でもらって残っている総合感冒薬には解熱剤が入っています。成分を確認し、不明な場合は使用しないで下さい。




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