下痢は生活環境や栄養の改善の結果、発症が減少し、軽症で治ることが多くなりました。ただ、嘔吐下痢症は乳児では脱水を伴いやすいという特徴がありますので要注意です。
1、原因
ロタウイルスやノロウイルス、腸管アデノウイルスが主な原因です。ロタウイルスやノロウイルスは毎年冬季に流行し、腸管アデノウイルスは年間を通じて発症します。各々にはタイプが多くあり、毎年かかりますし、一冬に2回以上かかることもあります。
2、症状
頻回の嘔吐と下痢です。ロタウイルス、アデノウイルスは乳幼児に多くみられ、ノロウイルスは全年齢に認められます。微熱が1日程度認められることもあります。嘔吐は半日から丸1日で治まります。
下痢はノロウイルスでは2〜3日、ロタウイルスや腸管アデノウイルスでは4〜5日間続きます。淡黄色や白っぽいクリーム色の水様便が特徴です。感染しても発症しない場合や、軽度の腹痛や軟便程度の症状で終わることもあります。
3、治療
下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に下痢を止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。嘔吐を抑える薬を使用することもあります。
嘔吐や下痢がひどく、口の中が渇いてきたり、ぐったりするなど脱水が疑われる場合には点滴による水分補給が必要です。
4、食事の与え方
初期の嘔吐や嘔気のある間だけは食事を止め(食べても吐いてしまいます)、ごく少量(コップ1/4〜1/3程度の嘔吐しない量)のイオン飲料水やお茶を頻回に与えて下さい。その後徐々に1回量を増やしていくようにします。イオン飲料水が十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。
5、予防
感染者の嘔吐物や下痢便の中にウイルスが存在します。嘔吐の場合は嘔吐物が周囲に飛び散り、ウイルスも飛び散ります。嘔吐物や便に触った後は石鹸を使って流水で手洗いを丁寧にしてください。嘔吐物が周囲への伝染の原因となりやすいですので、なるべく嘔吐させないような工夫が重要です。
塩素系の消毒薬や漂白剤、85℃で1分間以上が有効とされています。アルコールなどは効果がほとんどありません。
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