2017年 12月24日 放送
インフルエンザ


 インフルエンザでは高熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。咳などを介して伝播、流行し、年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが流行し、初期はA型が、後半はB型が主流となるのが一般的です。このウイルスは大小様々な変化を常におこしますので毎年感染しますし、一冬で2、3回のインフルエンザを発症することもあります。ワクチンによる軽症化が可能です。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、39℃程が2〜7日間続き、高熱のために熱性けいれんや幻覚による異常行動が生じやすくなります。けがをしないように注意して下さい。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もあります。病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。
 脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は症状を軽くしますが、使用しなくても4、5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。




2017年 11月26日 放送
熱傷(やけど)


 高温の場合は発赤や腫脹が出現し、腫れや水疱が数日間進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になります。低温熱傷は皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。
 出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えることが出来ますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなど、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱の皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和し、水疱液には皮膚再生を促す成分が含まれていますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合は軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。水疱ができた場合や範囲の広いやけどは受診して下さい。
 深い熱傷では傷跡が残りますが、浅いやけどの場合でも赤みや茶色の色素沈着が残る場合がありますので紫外線対策の遮光は有用です。
 口や鼻の周りのやけどの場合は、皮膚はたいしたことがなくても、熱い気体や水蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、喉が痛がる場合は早期の診察が必要です。
 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも同じ局所に長時間熱が加えられることとで低温熱傷が生じます。カイロや湯たんぽなどは皮膚に直接当たらないようにすることやこたつやホットカーペットの温度設定を低くする、寝る前に電源を切るようにするなどの対策が必要です。





2017年 10月22日 放送
子供の貧血


血液中の赤血球やヘモグロビンという酸素を運ぶたんぱく質が減少し、肺で取り込んだ酸素を体内に運ぶ力が低下した状態が貧血です。乳幼児では極端な貧血が3か月以上続くと精神や運動の発達が遅れる可能性が指摘されています。
 顔色が青白く、唇や爪などの色も白っぽくなり、元気がなく、軽い運動でも動悸や息切れがし、めまいなどの症状が出ます。
 主な原因は偏食による鉄分の不足です。乳児で離乳食が遅れたり、鉄分が少ない食事を摂っている場合、幼児・学童では偏食で鉄分やたんぱく質摂取の少ない子に貧血がみられます。牛乳には鉄分が少ししか含まれていませんので、牛乳を大量に摂取して食事量が少なくなると貧血になります。長時間走ったりジャンプしたりすることによる足底血管内の赤血球破壊が原因でおこるスポーツ貧血もあります。乳児期や思春期では成長が急激ですので、たんぱく質や鉄分の必要性が増します。また、思春期以降の女子では月経出血もありますし、やせ願望による無理なダイエットでは強度の貧血になります。
 鉄分は赤身の肉や魚の血合いに多く含まれます。鉄分は肉や魚などに含まれるヘム鉄と穀物や野菜などに含まれる非ヘム鉄に分類され、非ヘム鉄では腸管からの鉄の吸収率はよくありませんが、ヘム鉄やビタミンCが吸収を促進します。食事には肉や魚、野菜と果物を一緒に摂取することが望まれます。バランスの取れた食事が鉄欠乏性貧血を予防しますし、治療にもなります。食事療法で改善しない場合や強度の鉄欠乏性貧血では鉄剤を服用します。食事では鉄分の過剰状態にはなりませんが、薬やサプリメントの過剰摂取では、頭痛、食欲不振、肝機能障害、皮膚の黒ずみなどの副反応が生じますので注意が必要です。




2017年 9月24日 放送
ミルク嫌い


 母乳は飲むがミルクは飲まないという赤ちゃんがいます。母乳栄養が良いのですが、いろいろ努力してもなお母乳が不足する場合や生後早期から保育所や託児所などに預ける場合に問題となります。ミルク自体が嫌なのかミルクに付随するものが嫌なのか、色々な対策を根気よく試みることになります。搾乳した母乳を哺乳瓶で飲むかを確かめて、飲めれば哺乳瓶や乳首の問題は考えにくく、預けると決めた時点から搾乳を開始して母乳パックでの母乳の冷凍保存を開始します。
 ごく稀にはミルクアレルギーや病気のこともありますので注意は必要ですが、@飲ませるときの抱っこの姿勢を変えてみるA粉ミルクを溶かしている水をチェックするB乳首の種類を変えてみるC飲ますときのミルクの温度を変えてみるD赤ちゃんの眠たい時に飲ますEミルクの銘柄を変えてみるF入浴後などの喉が渇いている時に飲ましてみるGスプーンやカップを使うなどを試みます
 イライラしたり、無理に飲ませようと努力すればするほど、ますます嫌がって飲まなくなります。育児書やミルクの缶に書いてある1日哺乳量はあくまで目安であり、活発で体重の増加が良ければ、基準の哺乳量より少なくても、その子にとっては十分なのです。病気が否定されれば、体重の増加が不良の場合でも、活発であればミルクは少なくても飲んでくれるだけ、母乳も出てくれるだけで我慢をする必要があります。水分補給や空腹で泣くときには果汁や野菜スープ、重湯、赤ちゃん用のイオン飲料水などを与えて様子をみます。生後4か月頃になってから、早めの離乳食をつぶし粥から開始して、あせらず、ゆっくり進めます。こういった食事では体重の増えはゆるやかですが、子どもが元気であり、体重が確実に増えていれば心配は要りません。栄養面での多少の問題はありますが、子どもはよほどのことがない限り健全に育ちます。離乳食が進んでくれば徐々にですが体重は追いついていきますし、後遺症も残しません。それまであせらず我慢です。




2017年 8月27日 放送
清潔な皮膚


 皮膚には角質を含む表皮とその表面を覆っている皮脂膜によるバリア機能があり、肌の水分を保持し、外部からの異物の侵入を防いでいます。また、皮膚表面には多くの常在菌が存在して、病原菌から肌を守るバリアが存在します。これらの皮膚バリアが壊れてしまうと、皮膚に異物が侵入してきますし、肌にある水分は蒸発しやすくなります。スキンケアや栄養、生活習慣も含めた対策で皮膚のバリア機能を維持することが重要です。
 良い皮膚の状態とは、常在菌がバランスよく存在しており、皮膚に分泌された皮脂が常在菌で処理されて弱酸性の皮脂膜で皮膚が覆われ、アルカリ性を好む病原菌が繁殖しにくくなった状態です。1日に何回も洗う、ゴシゴシ擦ったり洗浄力の強い洗浄剤を使うなどの過剰な洗浄では皮膚常在菌が失われ、弱酸性の皮脂膜を洗い流してしまって皮膚のバリア機能が弱まります。健全な皮膚常在菌を育てて健全な皮膚環境を作るためには、洗いすぎない事が大切です。
 石鹸や洗浄剤で洗ってもすぐにほぼ中性の水道水で洗い流しますので、洗い流した後の皮膚は中性に近くなります。弱酸性の洗浄剤は洗浄能力が弱いものが多く、普通の子では香料などを含まない弱アルカリ性の普通の石鹸(小さな子ではベビー石鹸)が適していますが、皮膚に残らないように十分に流すことが大切です。
 手洗いが奨励されていますが、頻回の手洗いでは手が荒れますし、アルコールによる手洗いでは常在菌のほとんどを殺します。皮膚が荒れた常在菌の少ない部位には病原菌が増殖しやすくなります。汚れや汚染物などで手が汚れていれば丁寧な手洗いは必要ですが、遊具や家具を触った程度での手洗いまでは不要と思います。
 ウイルス感染では咳などでのウイルスを含む飛沫が主な感染源ですので、保育園や幼稚園、学校などでの密集した集団生活の中では手洗いの効果は限定的です。一般の細菌やウイルスの刺激でヒトの身体や免疫状態が健康に保たれています。清潔にし過ぎると身体や免疫力に弊害が出ます。




2017年 7月23日 放送
子どもの外遊び、夏太り


 夏に外で遊ぶと熱中症や日焼けなどの心配があります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、メタボリック症候群の予防にもなります。気候を感じ、怪我をして痛みを知る、友達と遊ぶことで協調性が養われ、ストレス発散の手段としても非常に有用です。外遊びや運動で汗をかく習慣は体温調節機能を向上させ、夏バテや熱中症の予防にも役立ちます。
紫外線は、皮膚の細胞を傷つけ、日焼けを作り、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。紫外線で遺伝子が傷害されても、自動的に修復されます。また、日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくする機能を持っています。急に強い紫外線は困りますが、日頃から外遊びをさせて紫外線や暑さに慣れさせて下さい。外で遊ぶときに帽子や涼しい衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で防御する必要はありますが、極端な紫外線対策は不要と思います。
空調の効いた快適な部屋でジュースやお菓子、ゲームやテレビ三昧の子どもが多くなり、「夏やせ」ではなく「夏太り」という状況に変わってきています。また、長時間のメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)も問題になってきています。
ただ、外遊びやスポーツには多少の危険は伴いますし、皮膚や服が汚れますが、経験になりますし、身体や精神を鍛え、思いやりや心の規範意識を育てます。公園などでは禁止事項が多くなり、大声を出してボールなどを追いかけられる場所も少なくなりましたし、異年齢間の交流や群れて遊ぶことも少なくならざる環境にありますが、危険防止を心がけて楽しい外遊びをさせてあげて下さい。




2017年 6月25日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境や労働、スポーツ活動などで体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなる状態です。
 7月下旬から8月上旬の梅雨明け直後に多く発症しますが、夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。
 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高くなります。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日のエンジンを止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。
 睡眠不足、運動不足などの体調不良は熱中症を起こしやすいため、スポーツ活動ではこのような状況を極力避けるようにして下さい。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。水分補給はこまめに行なって下さい。イオン飲料水を半分に薄めたものが適しています。
 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。
 子供の顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要です。





2017年 5月28日 放送
夏の食中毒


 ヒトは100兆個以上の細菌と共生し、通常は細菌を食べても病気にはなりませんが、食中毒を起こしやすい細菌があります。
 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。
2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。
3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。
4)腸管出血性大腸菌
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。
5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。食後1時間でも発症します。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子供は重症化しやすいため、子供に生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。




2017年 4月23日 放送
子どもの健康チェック


5月5日はこどもの日です。自分の子どもの元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。家族や他人にも感染させません。保育園、幼稚園、学校を休まなくても済みます。ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンは生後2か月から開始。日本脳炎ワクチンは7歳半までですが、19歳までが経過措置で無料になる子もおります。水ぼうそうワクチンが1、2歳のうちに2回接種、B型肝炎ワクチンは0歳児のみですが無料になっています。4種混合、麻疹風疹ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンも接種出来ます。有料ですがおたふくかぜなどのワクチンもあります。無料の定期接種は接種時期や方法が細かく規定されています。接種スケジュールが複雑ですので小児科専門医か保健所に相談して下さい。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子供が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。治療は必要か、どのような治療法があるのかを理解することが大切です。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。





2017年 3月26日 放送
低身長


 低身長は気になります。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が経過して、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあります。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 体質のための低身長もありますが、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症などのホルモンが不足する病気が原因の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。





2017年 2月26日 放送
夜尿症(おねしょ)


 寒くなると尿量が増加しますので、冬に夜尿は多くなります。毎晩のように夜尿をしている子供は小学生でも数%と多いのですが、年齢が進み、身体の発育に伴う膀胱容量の増大に加え、睡眠リズムの安定に伴う夜間尿量の減少で夜尿は無くなって行きます。
 膀胱が小さいために夜中に十分な蓄尿ができず漏らしてしまうタイプでは身体の発育に伴って治りますし、睡眠中の尿の量が多すぎるため夜尿となるタイプでは、尿量を減少させる作用のあるホルモンの分泌機能の未熟さが原因ですので、このホルモンの夜間分泌機能が成熟してくると夜間の尿量が減り、治ります。ほとんどの子が両方の要素を持っています。
 生活指導は@しからず、Aあせらず、B起こさずが原則です。@無意識に行っているので、しかられても本人はどうしようもないのです。A長期戦です。未熟な機能が身体の発育と共にゆっくり発達してくるのを待つ必要があります。B子どもの健全な発育・発達には十分な熟睡は大切です。夜中に起こして排尿させるという方法は、睡眠リズムを崩し、熟睡やホルモン分泌に影響します。夜間の膀胱容量も大きくなりません。夜中に起こして排尿させる方法はなるべく避ける方が良いと思います。
 機能の発達は待つしかないのですが、夜間の尿量の減少や排尿抑制機能を高めることは可能です。@食べたり、飲んだりした水分は3、4時間で尿になります。入眠4、5時間前から水分を制限し、夕食も早くして下さい。A塩分をたくさん摂ると尿量が増加し、のどが渇きますので水分摂取が増えます。夕食は薄味でお願いします。B膀胱を大きくする方法として、病気の場合を除いて、昼間に尿意があった場合に可能な限り我慢して膀胱容量を大きくします。これらの対応を行っても効果が得られない場合に薬を使用します。小児科専門医にご相談下さい。




2017年 1月22日 放送
インフルエンザ


 インフルエンザでは高熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。咳などを介して伝播、流行し、年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
 毎年2種類のA型と2種類のB型ウイルスが流行し、初期はA型が、後半はB型が主流となるのが一般的です。このウイルスは変化を常におこしますので毎年感染しますし、A型とB型共に2種類のタイプがありますので、ひと冬で2、3回インフルエンザを発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、39℃程が2〜7日間続き、高熱のために熱性けいれんや幻覚による異常行動が生じやすくなります。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、病院で処方される総合感冒薬にも脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている場合があります。注意が必要です。
 脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は症状を軽くしますが、使用しなくても4、5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。





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