2016年 12月25日 放送
熱傷(やけど)


 熱傷直後に発赤や腫脹が出ますが、腫れや水疱が数日進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になります。低温熱傷は皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。
 応急処置としては出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えることが出来ますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなど、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱内容液には皮膚再生を促す成分が含まれていますし、水疱の皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和しますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合は軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。水疱ができた場合や範囲の広いやけどは受診して下さい。
 浅いやけど以外は傷跡が残ります。浅いやけどの場合でも赤みや茶色の色素沈着が残る場合がありますので紫外線対策の遮光は有用です。
 口や鼻の周りのやけどの場合は、皮膚はたいしたことがなくても、熱い気体や水蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、喉が痛がる場合は早期の診察が必要です。
 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも同じ局所に長時間熱が加えられることとで低温熱傷が生じます。カイロや湯たんぽなどは皮膚に直接当たらないようにすることやこたつやホットカーペットの温度設定を低くする、寝る前に電源を切るようにするなどの対策が必要です。





2016年 11月27日 放送
嘔吐下痢症


 冬に大流行して頻回の嘔吐と下痢を伴います。潜伏期間は1〜3日で、嘔吐は1日程度で治まります。下痢は淡黄色や白っぽいクリーム色の水様便になることが多く、4〜5日間続きます。現在流行中の嘔吐下痢症は軽症で、下痢を伴わない子もいます。
 ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、パレコウイルスなどのウイルスが原因です。それぞれタイプが多数あり、毎年かかりますし、一冬に数回かかることもあります。
 患者の吐物や下痢便中にウイルスがあり、これらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。吐物や便を触った後は石鹸を使い水道水で手洗いを十分して下さい。消毒用アルコールは効果が不十分で、ミルトンやキッチンハイターなどの塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上の加熱がこのウイルスの消毒に有効とされています。乾燥するとウイルスが空中に広がりますので、吐物や便を濡らした新聞紙などで直ぐに覆い、きれいに拭き取って下さい。
 嘔気のある間だけは食事を止め、20〜30mlのイオン飲料水やお茶を与えて下さい。その後徐々に1回量を増やし、十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。食事は腸の回復を助けます。
 下痢が続きますので、牛乳や乳製品、ジュースなどは中止して下さい。吐気がなければ消化の良い食事は欲しがるだけ与えて下さい。下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。ひどい嘔吐には嘔吐止めを使用します。





2016年 10月23日 放送
細気管支炎


 細気管支炎は細い気管支が狭くなり、肺に出入りする空気の流れが妨げられ、呼吸困難を引き起こし、特に息を吐くことが困難な状況になる病気です。
 気管支は枝分かれしながら細くなり、その最も細くなった末端部分が細気管支で、その先には肺胞という酸素と二酸化炭素を交換する部分があります。乳児の細気管支は非常に細く、炎症が起きると痰がすぐにたまって空気が通り難くなります。主な原因はRSウイルスで、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルスなど多くのウイルス感染症でも発症します。
 RSウイルスは毎年、冬に流行する風邪のウイルスの1つで、毎年、10月から5月頃まで流行します。このウイルスは2歳までにほぼ100%が初感染をうけると考えられていますが、何度でも感染、発症します。しかし、再感染を繰り返す毎に免疫力も徐々に獲得し、症状も軽くなっていきます。大人や年齢の大きな子では鼻風邪程度で済みますが、乳幼児では稀に細気管支炎や肺炎となります。特に生後6か月以下の子では要注意です。
 初期は鼻水、くしゃみ、微熱、咳などの感冒様症状です。咳、鼻水などの風邪の症状が2日程続いた後、息を吐くときにゼーゼーという音がしたり、呼吸回数が多くなり、呼吸時に胸が凹みます。罹病期間は通常7〜12日で、ほとんどの乳児では症状は軽度で治ります。ただ、一部の乳児では、呼吸困難が悪化し、入院を必要となる場合もあります。小さな子が鼻水に咳を伴っている場合は小児科専門医を受診して下さい。
 RSウイルスに対する治療薬はありません。脱水気味になると痰が絡み、咳込みなどがさらにひどくなり、水分を取れず、どんどん悪くなります。こまめに母乳やミルク、お茶、イオン飲料水などの水分摂取を心がけて下さい。加温、加湿を心がけて下さい。咳き込んだ時には抱っこしてあげたり、上体を起こして背中をさすってあげると少し楽になります。





2016年 9月25日 放送
先天性股関節脱臼


 先天性股関節脱臼とは赤ちゃんの股関節が脱臼している病気で、その後の歩行や運動機能を大きく障害し、立位や坐位などの姿勢にも影響を与えます。日本人に多く、成人後の変形性股関節症の原因にもなります。関節が柔らかい赤ちゃんの時期に股関節の動きを制限すると先天性股関節脱臼になりやすくなりますので、股関節の動きを制限するような赤ちゃんの姿勢を強いることは避けるべきです。下肢は股関節が開き、膝関節を曲げた状態が自然であり、下肢はアルファベットのMの字の形になります。このスタイルが赤ちゃんにとっていちばん無理のない、自然な姿勢で、股関節にとっても脱臼しにくい格好です。
 ベビースリングは赤ちゃんの足の動きを制限しやすい状態を作りやすく、股関節脱臼を予防するために、少なくとも生後1か月までは使用を制限するのが望ましいとされていますし、生後3か月頃までの赤ちゃんを横抱きで下肢を伸展した形で使用すると、股関節脱臼を誘発する肢位になる危険性があります。
 抱っこする人と赤ちゃんとがお互いが向き合うようにして、下肢を抱っこする人の左右になるような縦抱きにして、お尻を支えて、足をスリングの外に出すようにすると、ある程度自由な運動が可能になります。小さくて足が外に出せない場合は、足側のポーチは広めにとり、お尻に体重がかかっていることを確認して、必ず赤ちゃんの足がひざを少し曲げたM字の開脚状態で、両足が自由に動かせるように留意して下さい。
 スワドリング(おひな巻)は両手をしっかり固定するようにおくるみを巻くことで、赤ちゃんがぐっすり眠るということですが、股関節脱臼の発生率は上昇しますし、元気で、ミルクの飲みもよく、すくすく育っていた赤ちゃんが、ある日突然死亡する乳児突然死症候群の発生率も数倍上昇する可能性があります。生後1歳未満でのスワドリングは注意して下さい。





2016年 8月28日 放送
便秘


 便通の回数や便の硬さには正常の基準はありませんが、一般的には週に2回以下の排便回数では便秘症と考えます。また、便が硬くなり排便時に痛みを訴えたり、痛くて排便できない場合も便秘です。ただ、2〜3日に1回の排便でも腹痛などの訴えがなければ治療は不要です。母乳栄養児では軟らかい便なのに3〜4日に1回の排便のことはよくあります。母乳のみの場合は1週間に1回程度の排便回数でも元気で食欲もあれば治療する必要はありません。
 便秘には甲状腺機能低下症や消化管や脊髄に病気がある器質的便秘と排便時の痛みが嫌で排便しないため便秘になる機能性便秘、食物や食物繊維が少ない食事内容による食事性便秘の3つの型があります。
 慢性便秘ではまず、器質的な病気がないことを診断し、食事内容の改善、運動量の増加、排便習慣をつけるなどを行って下さい。食事中の繊維質が少ないと便秘になりますので、果物、野菜、海藻、芋、きのこ、豆などの摂取を今以上に増やして下さい。
 便秘時の痛みが強かったため、排便を我慢して便秘がよけいにひどくなる場合があります。便の塊が大きくなり、直腸の拡張が繰り返され、直腸が常に拡張した状態になると、便が直腸にあっても正常の排便反射(直腸に便がたまると排便したくなる)が抑制されてしまいます。薬や浣腸などで排便を痛くないようにし、排便すると痛いという恐怖心を取り除きながら、時間をかけて拡張した腸管を元に戻す必要があります。
 浣腸は癖にはなりません。排便時の痛みが強い場合などに排便させるのに有用です。便秘薬もありますし、乳児には綿棒浣腸も有効です。
 生後8か月までの乳児に蜂蜜を与えると、腸管内でボツリヌス菌が増殖し、初期には便秘で、進行すると筋力低下や哺乳力減少なども生じる可能性があります。乳児に対しては蜂蜜を与えないことが原則です。





2016年 7月24日 放送
子どもの外遊び、夏太り


 夏に外で遊ぶと熱中症や日焼けなどの心配があります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、メタボリック症候群の予防にもなります。気候を感じ、怪我をして痛みを知る、友達と遊ぶことで協調性が養われ、ストレス発散の手段としても非常に有用です。外遊びや運動で汗をかく習慣は体温調節機能を向上させ、夏バテや熱中症の予防にも役立ちます。危険防止を心がけて楽しい外遊びをさせてあげて下さい。
 紫外線は、皮膚の細胞を傷つけ、日焼けを作り、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。紫外線で遺伝子が傷害されても、自動的に修復されます。また、日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくする機能を持っています。急に強い紫外線は困りますが、日頃から外遊びをさせて紫外線や暑さに慣れさせて下さい。外で遊ぶときに帽子や涼しい衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で防御する必要はありますが、極端な紫外線対策は不要と思います。
 空調の効いた快適な部屋でジュースやお菓子、ゲームやテレビ三昧の子どもが多くなり、「夏やせ」ではなく「夏太り」という状況に変わってきています。3歳ころからの肥満は成人の肥満に移行します。また、長時間のメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)も問題になってきています。ただ、肥満による悪い影響が出る程度は個人によって異なります。太っていることが大きな問題ではなく、内臓脂肪蓄積によって生じる症状、障害が問題です。太っている人が必ずしも脂肪肝ではありません





2016年 6月26日 放送
あせも、とびひ、水いぼ


1、あせも(汗疹)
 汗腺の出口(汗の出る穴)が汚れで塞がれて炎症が生じた状態で、痒がります。風通しを良くし、通気性が良く汗を吸い取りやすい薄手の綿の服を使用し、汗をこまめに拭き取ることが予防になります。シャワーで汗を流したり、濡れタオルで拭くなども有用です。痒みが強い時には塗り薬を使用します。

2、とびひ(伝染性膿痂疹)
 虫刺されや汗疹の掻き傷、擦り傷などに細菌が増殖した状態で、そこを触って細菌が付着した手で他の場所を掻くと細菌感染が拡大(飛び火)してどんどん広がる病気です。清潔にして、抗生物質の軟膏を塗布します。伝染性膿痂疹は水疱性膿痂疹(水膨れが出来る)と痂皮性膿痂疹(かさぶたが出来る)の2種類に分類されます。 水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌によるもので、小水疱が拡大して容易に破れびらん面を形成します。痂皮性膿痂疹は多くはA群溶連菌によるもので、小紅斑から小膿疱、びらんとなり、やがて黄褐色の厚い痂皮(かさぶた)となります。A群溶連菌によるものは腎炎を起こすことがありますので抗生物質の内服も必要です。

3、水いぼ(伝染性軟属腫)
 伝染性軟属腫ウイルスが原因で、1〜5ミリ大の肌色からすこし赤みを帯びた丸いブツブツしたイボ状で、少し光るために水っぽく見えます。中には白いチ−ズ状(粥状)のウイルスの塊が入っています。掻き壊して、ウイルスを他の皮膚の傷などに付着させることで伝染していきますが、その感染力はあまり強くありません。通常は痛くも痒くもありませんし、身体の免疫力で半年から2年くらいの間で自然に消えてゆきます。
 同じプールに入っただけでは感染せず、学校保健法では通常登園停止は必要なく、原則としてプールを禁止する必要はないと明記されています。






2016年 5月22日 放送
夏の食中毒


 ヒトは100兆個以上の細菌と共生し、通常は細菌を食べても病気にはなりませんが、食中毒を起こしやすい細菌があります。
 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水、熱、低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。
2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。
3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。
4)腸管出血性大腸菌
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。
5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。食後1時間でも発症します。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子供は重症化しやすいため、子供に生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。




2016年 4月24日 放送
子どもの健康チェック


5日はこどもの日でした。自分の子どもの元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。
1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。家族や他人にも感染させません。保育園、幼稚園、学校を休まなくても済みます。ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンは生後2か月から開始。日本脳炎ワクチンは7歳半までですが、19歳までが経過措置で無料になる人もおります。水ぼうそうワクチンが1、2歳のうちに2回接種になりました。4種混合、麻疹風疹ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンも接種出来ます。有料ですがおたふくかぜなどのワクチンもあります。B型肝炎ワクチンが4月生まれの子から0歳の間に限られますが、10月以降に定期接種になり無料になる予定です。接種スケジュールが複雑ですので小児科専門医か保健所に相談して下さい。
2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子供が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。





2016年 3月27日 放送
低身長


 低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、中学生や高校生になり、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあります。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 その子の体質のための低身長もありますが、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症などの子供の成長に欠かせないホルモンが不足する病気が原因の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに効果はありません。





2016年 2月28日 放送
包茎(ほうけい)


 包茎はちんちんの皮(包皮)が亀頭を覆っている状態をいいます。出生時の男児は全員が包茎であり、ちんちんの皮がむけているのは尿道の病気を疑います。第2次性徴での男性ホルモンでちんちんが発達して、勃起時に亀頭が露出するようになります。15歳頃からは包皮はスムーズにむいて下げられるようになり、その後に普通でも亀頭が露出するようになります。思春期が過ぎるまでは包茎が普通です。
 包皮と亀頭の間には分泌物や剥離した細胞が溜まった黄白色の軟らかい恥垢があります。黄白色の丸いチーズ様の塊のようになる場合もありますが、病的なものではなく、成長に従い自然に消失します。
 子供のちんちんの皮をむいてよく洗った方が良いという人がいますが、恥垢は無菌であり、不潔でもありません。無理に皮をむいてゴシゴシ洗う必要はありません。痛くてかわいそうです。子供では細菌が付いて亀頭が腫れる亀頭炎をよくおこしますが、数日の抗生剤の服用で治ります。包茎はちんちんの発育を妨げませんし、恥垢が陰茎癌の原因になるという根拠もありません。包皮は小児期では弱い亀頭を外的刺激や外傷から守っていますし、性的刺激を感知する機能は包皮にありますので無駄な部分ではありません。
 包茎口が狭すぎて尿がポタポタしか出ない場合は治療が必要ですが、それ以外の普通に排尿できている包茎の治療は不要です。治療が必要な場合でも、非常に特殊な包茎の場合以外は手術による包茎切除の必要はありません。1〜2か月かけて軟膏を包皮口から塗りこんで包皮をむく方法があります。包茎が心配な人もこの方法を試して下さい。ただ、包皮をむかなければならないわけではありません。





2016年 1月24日 放送
インフルエンザ


 インフルエンザでは高熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。咳などを介して伝播、流行し、年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
A型とB型ウイルスが流行し、初期はA型が、後半はB型が主流となるのが一般的です。 このウイルスは大小様々な変化を常におこしますので毎年感染しますし、2種類のA型とB型といったように、ひと冬で数回インフルエンザを発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、39℃程が2〜7日間続き、高熱のために熱性けいれんや幻覚による異常行動が生じやすくなります。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もあります。注意が必要です。
脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は症状を軽くしますが、使用しなくても4、5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。





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