2021年 12月26日 放送
小児のインフルエンザ


 咳などを介して伝播、流行し、高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。症状からでは新型コロナウイルス感染症との区別は困難です。
 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが毎年流行し、ウイルスは大小様々な変化を常におこしていますので、一冬で2、3回発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、2〜7日間続きます。高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)などによる異常行動が生じやすくなります。けがをしないように注意して下さい。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もありますので、病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。
 脳症は乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気ですが、解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は発症2日までの使用で症状を軽くしますが、使用しなくても5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると脳細胞から化学物質が過剰に放出されるため、神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。






2021年 11月28日 放送
熱性けいれん


 熱性けいれんには@手足が硬直してピーンと突っ張り、眼球が上転し、口から泡を吹き、呼吸が一時的に止まり、顔色が悪くなる強直性けいれんとA手足や顔の筋肉などがリズミカルに屈曲伸展を繰り返す間代性けいれん、B数秒から数十秒間の強直性けいれんに続いて間代性けいれんが続く強直間代性けいれんの3つのタイプがありますが、ほとんどは左右対称性の強直間代性けいれんです。けいれん中は意識が消失していますので、呼びかけ等には反応しません。
 発症には発熱、体質、年齢が関係し、生後6か月から6歳頃までの子どもに多く、2〜5%の子におこります。脳に後遺症は残しませんし、ほとんどの子は1、2回しかおこしません。けいれんが5分以上続いて止まりそうにない場合や発熱持続中に2回以上のけいれんが出現した場合、意識障害や麻痺が残る場合などの他、周囲がパニックになっている場合では受診が必要で、救急車の要請も考慮して下さい。 
 動きが激烈ですので周囲がパニック状態になる状況は理解できますが、けいれんはすぐに止まりますので、落ち着いて下さい。強く抱きしめたり、押さえたりして、力ずくで止めようとしても止まりませんし、身体を揺さぶるなどの強い刺激はけいれんを止まりにくくする場合があり、止めて下さい。呼吸が楽になるように首の周りなどの服をゆるめ、平らで安全な場所に寝かせ、嘔吐した時に吐物を肺に誤飲しないように、 顔を横にしてあげて下さい。舌を噛むのを恐れて口にタオルや指、お箸などを突っ込むことも困ります。まず、舌を噛みませんし、発作が始まれば何をしても遅すぎです。タオルの場合は口腔内を塞って窒息、指は噛まれて大けが、お箸では口の中を傷つける可能性があり危険です。子どもの状態が元の状態に戻るまで静かに見守ってあげて下さい。15分間以上のけいれん持続や左右差のある発作、発熱期間中に複数回の発作が反復したなどの場合は、その後の発熱時に再発予防策を考慮します。予防接種はすべて可能で、ワクチンで病気を予防して下さい。






2021年 10月24日 放送
赤ちゃんの夜泣き


 寝る前までは機嫌も悪くなかったのに、夜中に急に泣きだして泣きやまず、原因が不明な状況を「夜泣き」といっています。生後3か月頃から始まり、6か月〜1歳頃の赤ちゃんに多く見られ、1歳半頃から自然としなくなっていきます。「夜泣き」は病気ではなく、成長につれて治っていきます。乳幼児は眠りたい時に眠り、起きたい時に起きる生活ですので、元気で睡眠不足にはなりませんし、成長や健康に悪影響を及ぼしません。
 毎日のように夜泣きをされると親は無力感と睡眠不足で疲れ果ててしまいます。7割程の親が経験しています。夜泣きは赤ちゃんの成長の過程と捉え、あきらめて付き合っていくしかなく、2歳頃までの我慢です。風邪などの原因チェックは必要ですが、泣き止めばラッキーと思って、寝たふりをする、あやす、オムツのチェック、添い寝、涼しくする、おっぱいやミルクを与える、外に連れ出すなどその都度試みて下さい。昼間に外で十分遊ばせて疲れさせることも考えて下さい。
 特に、お母さんは家族に頼って睡眠時間を確保し、息抜きが必要です。ママ友達とのおしゃべり、育児サークルやイベントへの参加、保健師や小児科医への相談も良いと思います。自分なりの対策を見つけて下さい。
 周囲の協力を得る、子どもを預けて短時間でも外出をする、子どもと一緒に楽しめる施設に行く、家で気分転換をする、パァーッと買い物をする、しゃべる、テレビやDVDを見て泣くなど自分なりにストレスを解消して下さい。また、インターネットや育児書にある「子どものための・・、育児のための・・」という無責任な文章を信じるのは半分以下にして下さい。理想と現実は異なりますし、育児書などで理想とされていることが必ずしもその子にとって良い結果を生むとは限りません。自分の可能な、無理をしない範囲での子育てで十分という割り切った考えを持って下さい。子どもはよほどのことがない限り健康に育ちます。






2021年 9月26日 放送
こどもの誤飲事故


 子どもが有害なものを飲み込んだ場合に、@口の中に残っている場合は指でかき出します。胃の中に入れば2日程度で便に出ます。A食べた物を吐かせて出させます。指で舌の後方を押せば吐きます。吐きにくいときは牛乳(異物の胃への刺激を緩和する)や水を飲ませて吐かせます。ただ、吐かせてはいけない物(揮発性に物や酸やアルカリ性の強い物)がありますし、牛乳を飲ませてはいけない物(脂溶性の物は吸収が早くなり危険)があります。B揮発性の高い化粧品やガソリン、灯油、マニキュア除光液などは吐かせると数日後に肺炎をおこす可能性があり、すぐ受診です。C酸やアルカリ性の強い漂白剤やトイレなどの洗浄剤などは吐かせると口腔内や食道の粘膜をよけいに傷つけます。牛乳を飲ませて希釈してから受診して下さい。D食べた物の名前、成分、量がわかる箱やラベルを持って小児科専門医を受診して下さい。場合によっては胃洗浄(胃の中を洗って飲み込んだものを出す)が必要となります。インターネットや日本中毒情報センター(中毒110番)や病院で聞いてみて下さい。
 小児ではタバコ1本が致死量です。少量摂取以外は受診して下さい。加熱式タバコのスティックは小さく乳幼児でも一度に口に入ります。子どもが誤飲しますのでジュース缶を灰皿代わりに使用しないで下さい。防虫剤のパラジクロルベンゼンはかけらを食べた程度では大丈夫です。牛乳を飲ませると吸収が早くなりますのでやめて下さい。お菓子の乾燥剤のシリカゲルは大丈夫です。蚊取りマットやボトル、芳香剤、クレヨン、水性絵の具、食器用洗剤、石鹸、シャンプー、一般的な化粧品も少量であれば大丈夫です。ボタン電池は胃に穴があくことがありますので早期に受診して下さい。できるだけ誤飲されないような配慮をお願いします。






2021年 8月22日 放送
かん虫、第一反抗期


 子どもはかわいいのですが、育児となると、正解はなく、楽しさの中に多くの不安や困難を伴います。子育て中の友人や小児科専門医に相談して下さい。かん虫も反抗期もほとんどの子に出現しますし、特別な薬や対処法はありません。
 赤ちゃんが泣きやまない、夜泣き、食べない、すぐ不機嫌になる、つまり親が困る、大人の思うようにならないことを「かん虫」と表現します。赤ちゃんも成長するにつれ欲求が強くなり、思うようにならなければ腹が立ちます。自我が芽生え、自分の意思が出てくれば「かん虫」が出てきます。子どもがうまく成長している証拠です。
 2歳頃になると走ったり、言葉を理解したり、行動の幅が広がると同時に、自分で出来ることに喜びを感じるようになります。色々な事に兆戦し、他人が手伝うと「自分で、自分で」と怒ります。急いでいるのにこれをされると、こういった時期だとわかっていても、理性と感情は別で、我が子ながら腹が立ってきます。
 自己が強く出始め、大人のいう「反抗期」です。ただ、子どもは反抗しているのではなく、騒いではいけない場所や急いでいるとか子どものためにという大人の都合や考えを理解できていないだけです。あと数年間はこういう時期だと諦めて下さい。
 出来なかったことに挑戦し、努力します。親にほめられ、認められることを喜びます。徐々に能力がつき、失敗をする体験を通じ耐える能力も身についてきます。悪いことや危険なことには叱る必要があり、甘やかしすぎや制限のない自由奔放は困ります。
 子育て支援を目的に開発された子育て商品を十分に活用し、自分の生活も楽しみながら子どもを信じ、自信を持って自分たちの現実でのベストの子育てを模索していって下さい。






2021年 7月25日 放送
夏バテ


 夏の疲れやダメージが身体に溜まって生じる体調不良を夏バテと呼んでいます。暑い夏の体温調節に多くのエネルギーを消費し、暑さでの睡眠不足や食欲不振、スポーツなどのさらなる負担で身体の対応能力に無理が生じ、元気がない、すぐに疲れる、身体がだるい、イライラする 、食欲不振、立ちくらみ、胃腸の不調など漠然とした身体の不調や限界というサインが出ている状態が夏バテです。
 誘因には自律神経の不調、水分不足、胃腸の働きの悪化などがあります。
 暑くなると発汗や血管を広げて体内の熱を逃すために自律神経がフルに働いています。自律神経のバランスを乱す大きな原因は睡眠起床時間の乱れた不規則な生活と過度のストレスですので、夏休み中でも、早寝早起きの習慣で生活のリズムを安定させることが大切です。また、高温多湿な夏では軽作業でも多くの汗をかきますので、これを補う水分補給が必要です。ただ、食事も水分ですので、空調の効いている室内では特別な水分補給は不要です。
 暑いと体表面への血流が多くなり、胃腸への血流が少なくなって胃液などの消化液が減って胃腸に負担がかかりますし、冷たい飲料で胃腸の温度が下がり、消化酵素の働きも低下してします。
 夏バテ予防対策には充分な栄養を摂取し、発汗機能を高め、十分に身体を休めることが重要になります。子どもはスナック菓子などを多く食べますのでこれらの代謝にビタミンB群は必須です。栄養バランスの良い食事はもちろんですが、胃腸に負担の少ない食事内容も重要です。エアコンが効いた部屋でのジュースやお菓子、ゲームやユーチューブ三昧といった快適生活では発汗能力が低下し、自律神経の不調が生じますので、外で遊んで適度に運動をさせて発汗習慣を身につけさせて下さい。体力の限度を超えた行動を取らないように、疲れを溜めないように周囲がコントロールしてあげることも必要です。






2021年 6月27日 放送
夏の食中毒


 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症しますが、一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。

2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。

3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。

4)腸管出血性大腸菌(O‐157など)
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。

5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は病原菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、一般的には使用しません。







2021年 5月23日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境やスポーツ活動などで体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなった病態です。
 夏季に多発しますが、夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。空調のない室内でのスポーツも要注意です。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。
 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高くなります。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日の空調を止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。

 睡眠不足、運動不足などの体調不良は熱中症を起こしやすいため、スポーツ活動ではこのような状況を極力避けるようにして下さい。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。お水やイオン飲料水、経口補水液などの水分補給はこまめに行なって下さい。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。
 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。子供の顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要ですので、救急車を要請して下さい。






2021年 4月25日 放送
子どもの健康チェック


 5月5日はこどもの日です。元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。また、入学や新学期での環境の変化に加え、コロナ感染予防による日常活動への抑制のストレスもあり、大きなストレスがかかっていますので親子ともにストレス発散が必要です。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。副反応は全く無いわけではありませんが、自分の子どもへの個人防衛、妊婦さんや基礎疾患を持った子どもへの感染予防義務に加え病気の流行を抑制します。乳児の髄膜炎予防のためのワクチンは生後2か月から開始できますので、なるべく早期接種をお願いします。日本脳炎ワクチンは19歳までが経過措置で無料になる子もおります。接種無料券が使える年齢が限られています。不明な場合は保健所や小児科専門医に問い合わせて下さい。おたふくかぜワクチンなどの国の定期接種以外も、有料にはなりますが接種は可能です。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。治療は必要か、どのような治療法があるのかを理解することが大切です。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。






2021年 3月28日 放送
低身長


 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、精神的なサポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が過ぎて、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。一般的に、身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、早く止まる子もいます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。






2021年 2月28日 放送
小児の発熱


 高熱になると機嫌が悪くなり困りますが、40℃以上になっても、風邪の高熱のみでは脳に障害を残しません。発熱は細菌やウイルスに対する防御反応の1つで、病気に負けて熱が出るわけではありません。体温が急上昇する際の寒気が強い時には温かくしますが、それ以外は薄着が基本で、涼しい気持ちの良い環境にして下さい。ゼリーやアイスクリームやお菓子など、何でも食べてくれればありがたいと考え、数日間は栄養バランスを無視して下さい。
 水枕や冷却ジェルシートは子どもが嫌がれば止めて下さい。熱があっても機嫌が良ければ短時間の入浴は可能です。ぐったりしている、呼びかけに対する反応が悪い(意識低下)などの場合は救急で小児科専門医のある病院を受診して下さい。
 解熱剤は熱を下げて子どもの機嫌を良くしますが、病気は治しません。解熱剤で無理に熱を下げる必要はなく、解熱剤の使用は熱のために機嫌が悪い時や寝てくれないなどの時に限定し、アセトアミノフェン(カロナールなど)を使用します。病気にもよりますが、他の解熱剤は脳症を起こしやすくなる場合もあり、使用しないで下さい。風邪薬といわれる総合感冒薬にも解熱剤は入っています。注意が必要です。
 熱性けいれんは6歳以下の子どもの5〜8%に生じます。身体全体が堅く伸びきったり、筋肉や手足がピクピクとリズミカルに動き、意識が無いのが特徴です。身体を揺すったり、口の中に指などを入れないで下さい。数分以内に止まり、後遺症は残しません。
 高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄といわれる幻視や幻聴などの幻覚や異常行動などが生じる場合があります。怪我をしないように見守ってあげて下さい。けいれんが15分以上、熱せん妄が1時間以上続けば救急受診が必要です。






2021年 1月20日 放送
熱傷(やけど)


 暖房器具や調理器具での熱傷の多い時期です。高温の場合は発赤や腫脹が出現し、腫れや水疱が数日間進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になり、皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。
 出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えることが出来ますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなど、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱を覆う皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和し、水疱液には皮膚再生を促す成分が含まれていますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合は軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。水疱ができた場合や範囲の広いやけどは受診して下さい。
 口や鼻の周りのやけどの場合は、熱い気体や水蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、咳を伴ったり喉を痛がる場合は早期の診察が必要です。
 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも皮膚の同じ場所に長時間熱が加えられると低温熱傷が生じますので、直接皮膚に触れないようにして下さい。あまり動かない赤ちゃんや小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、低温やけど以外にも脱水症や熱中症になる可能性があります。






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