2014年 12月28日 放送
インフルエンザ


 12月末から流行が始まり、高熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など多彩な症状を示します。咳などを介して伝播し流行し、年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
A型とB型ウイルスが流行し、初期はA型が、後半はB型が主流となるのが一般的です。

 このウイルスは大小様々な変化を常におこしますので毎年感染しますし、数種類のA型とB型といったように、一冬で数回インフルエンザを発症することもあります。

 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、39℃程が2〜7日間続き、寒気、関節痛、筋肉痛、咳が強く出ます。高熱のため熱性けいれんが生じやすくなります。

 ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)やメフェナム酸(ポンタールなど)など、脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もあります。注意が必要です。

 脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。

 タミフルやリレンザなどの治療薬は発熱後2日以内での早期使用開始が有効とされています。これらの薬は症状を軽くしますが、使用しなくても3、4日程度で治ります。タミフルの異常行動が指摘されていますが、リレンザでも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻視、幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。



2014年 11月23日 放送
乾燥肌


 冬になると子供の皮膚は乾燥しますので、汗をかいたり温かくなると痒みを訴えます。暖房をつけたり布団に入ると痒みが増してイライラや不眠の原因になります。
 お風呂ではベビー石鹸や木綿のタオルなどでやさしく洗って汗やあかを落とし、石鹸をよく洗い流すようにして下さい。タオルでゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけ、皮膚の機能を破綻させ、よけいに悪化し、痒みが増します。
 直接肌に触れる下着などは吸湿性の良い木綿のものを1、2回洗って柔らかくしてから使用して下さい。抱っこする人の服なども含め毛糸などの刺激が赤ちゃんや子供の肌に直接触れないようにして下さい。

 アトピー性皮膚炎は遺伝、体質、ストレス、友人関係、生活環境、アレルギー、感染、日光、食事、ほこりやダニなど多くの因子が悪化に関係しています。血液検査で原因を探すことは不適切です。

 食物制限は食べれば皮膚の症状が悪化する食物のみに限定して下さい。血液検査では原因を探せません。極端な食物制限は発育異常をおこしますし、皮膚炎を悪化させる可能性もあります。

 ダニやホコリは悪化原因のひとつに過ぎません。生活環境を整備することは大切ですが、限度があり、こまめに掃除をし、部屋の換気を良くする、ほこりの出やすいものを止めるなどで十分と思います。

 スベスベの肌にする必要はありませんが、皮膚を傷つけたり、不眠は困ります。保湿作用のある軟膏を使用し、赤みが強い時は炎症を抑える軟膏も必要です。掻くと皮膚のバリア機能が低下し、保湿機能が低下し、刺激物質が皮膚内に侵入しやすくなり、症状が悪化します。スキンケアが大切です。痒みの強い時には痒みを抑える内服薬も併用して下さい。



2014年 10月26日 放送
急な発熱


 発熱は高熱になると機嫌が悪くなり困りますが、風邪の高熱のみでは脳に障害を残しません。発熱は細菌やウイルスに対する防御反応の1つで、病気に負けて熱が出るわけではありません。体温が急に上昇する際の寒気を強いに時は毛布などで包みますが、それ以外は薄着が基本で、涼しい気持ちの良い環境つくりを心がけて下さい。ゼリーやアイスクリームやお菓子など、何でも食べてくれればありがたいと考え、数日間は栄養バランスを無視して下さい。

 幼児では1年間に5〜6回の発熱があるのが一般的です。特に保育園や幼稚園に行き始めの1年間は頻繁に熱を出します。たくさんのウイルスに感染し、たくさんの抵抗力を獲得すると、感染や発熱の頻度が少なくなってきます。それまで我慢です。

 水枕や冷却ジェルシートは機嫌が良くなれば続けますが、子供が嫌がれば止めて下さい。熱があっても機嫌が良ければ短時間の汗を流す入浴であれば制限する必要はありません。熱が高くても機嫌が良い場合はあせる必要はありません。機嫌がかなり悪い、ぐったりしている、呼びかけに対する反応が悪い(意識低下)などの場合は救急で小児科専門医のある病院を受診して下さい。

 解熱剤は熱を下げて子供の機嫌を良くしますのでありがたい薬ですが、病気は治しません。解熱剤で無理に熱を下げる必要まではありません。解熱剤の使用は熱のために機嫌が悪い時や寝てくれないなどの時に限定し、アセトアミノフェンを使用します。インフルエンザ感染では他の解熱剤は脳症などとの関係が指摘されていますので使用しないで下さい。風邪薬といわれる総合感冒薬にも解熱剤は入っています。



2014年 9月28日 放送
予防接種


 誰しも病気にかかりたくはありません。まして自分の子となるとなおさらです。他人にうつしやすい病気もあります。保育園、幼稚園、学校を休まなければなりません。ワクチンは病気にかからない、または感染しても重症化を防ぐことが出来ます。「予防は治療に優る」ということです。個人の健康被害のみならず病気の流行を阻止し、医療費の抑制にも役立ちます。ただ、予防接種の効果は実際に病気にかかって獲得する抵抗力に比較すると弱く、効果の持続性も短くなります。予防できる病気は予防し、予防できない病気は発病後早期から治療を行うことが一般的です。

 麻疹風疹混合ワクチンの接種回数が2回になっています。1回の接種のみでは数%の子には免疫が出来ないといわれていますが、2回接種することでこれらの子ども達にも免疫をつけることが出来る可能性がありますし、1回目で獲得した免疫力を増強させることが出来ます。また、1回目に接種をしそびれた子ども達に、もう1度の接種のチャンスを与えることが出来ます。

 水痘に感染していない子で水痘ワクチンが10月から定期接種になり、1歳と2歳の子は無料で2回接種できます。すでに1回接種している子は次の1回が無料です。経過措置として3月までは3歳と4歳の子も未接種者に限り1回接種できます。2回接種するのは、1回接種での効果は90%程度ですので、残り10%の子に免疫力をつけるようにする目的と1回目で獲得した免疫力をさらに増強させることです。

 妊婦さんではポリオ、麻疹、風疹、水痘などの生ワクチン接種は避けてください。 軽度の咳きや鼻水、下痢などでは接種可能です。出来るだけ早い時期に接種して下さい。



2014年 8月24日 放送
ちんちんの問題 ―包茎と停留精巣(睾丸)―


  包茎はちんちんの皮(包皮)が亀頭を覆っている状態をいいます。出生時の男児は全員が包茎であり、ちんちんの皮がむけているのは尿道の病気を疑います。第2次性徴での男性ホルモンでちんちんが発達し、勃起時に亀頭が露出し、その後に普通でも亀頭が露出するようになります。思春期が過ぎるまでは包茎が普通です。

 包皮と亀頭の間には分泌物や剥離した細胞が溜まった黄白色の軟らかい恥垢があります。黄白色の丸い塊のようになる場合もありますが、病的なものではなく、成長に従い自然に消失します。

 子供のちんちんの皮をむいてよく洗った方が良いという人がいますが、恥垢は無菌であり、不潔でもありません。無理に皮をむいてゴシゴシ洗う必要はありません。子供では細菌が付いて亀頭が腫れる亀頭炎をよくおこしますが、数日の抗生剤の服用で治ります。包茎はちんちんの発育を妨げませんし、恥垢が陰茎癌の原因になるという根拠もありません。包皮は小児期では弱い亀頭を外的刺激や外傷から守っていますし、性的刺激を感知する機能は包皮にありますので無駄な部分ではありません。

 包茎口が狭すぎて尿がポタポタしか出ない場合は治療が必要ですが、それ以外の包茎の治療は不要です。包茎が心配な人は、1〜2か月かけて軟膏を包皮口から塗りこんで包皮をむく方法があります。ただ、包皮をむかなければならないわけではありません。

停留精巣はちんちんの下の陰嚢という袋の底に精巣が無い状態です。将来の不妊や精巣腫瘍の頻度が高くなりますので、1歳頃に手術が必要です。入浴時に陰嚢底に精巣があるか確認して下さい。



2014年 7月27日 放送
夜泣き、かん虫


 大人夜に眠れないとしんどくなりますが、乳幼児では夜昼関係なしに、眠りたい時に眠り、起きたい時に起き、お腹がすいた時に食べるという生活で何ら問題がありません。子供が成長して大人の生活リズムに近づくと夜泣きは自然になくなります。それまで我慢です。

 睡眠のリズム、夜昼の区別に重要なのは光と言われ、朝の光の刺激を受けると身体は覚醒状態となります。また、昼間の適度な疲れも睡眠には重要です。昼寝が長いと夜に眠ってくれません。昼間の興奮の影響が夜に出ることもあります。環境が変わっても興奮します。

 乳幼児が泣き止まない、夜泣き、食べてくれない、すぐに不機嫌になる、奇声を発する、すねて動かないなど親の言うことを聞かない、親が困ることをする事を「かん虫」といいます。子供は子供のリズムがあり、やりたいこともあります。他人の迷惑など考えられる年齢ではありません。子供に自我が芽生えてきた証拠です。危険なことには怒る必要はありますが、言い聞かして理解できるようになる年齢である5歳頃までじっと我慢です。ほとんどの親は「夜泣き、かん虫」に悩んだ経験を持っています。針やナイフを使った「かん虫切り」の風習でB型肝炎が流行した地方がありました。

 夜泣きは生後7、8か月頃に最も多く、2、3歳頃には少なくなります。気長に待つことが基本ですが、@朝に光(太陽光や室内の光)を当てる。A昼間はなるべく遊ばす。B昼寝は昼食後の早い時間帯で1〜2時間程度にするなども試みてください。騒がしい、暑苦しい、明るいなどの眠る環境も関係します。親が子供の夜泣きのために睡眠不足となると大変です。夜泣きがひどい場合には薬も考慮します。

 かん虫も自我の形成過程ですので、我慢するしかないのですが、子育て中の友人や小児科医に相談してください。気分が楽になります。



2014年 6月22日 放送
子どもの外遊び


 夏に外で遊ぶと熱中症、強い紫外線による日焼けなどの心配があります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、小児のメタボリック症候群の予防に重要な役割を担っています。気候を感じ、怪我をして痛みを知る、友達と一緒に遊ぶことで協調性が養われ、ストレス発散の手段としても非常に有用です。小さな動物や植物に触れ、いつくしむ心が形成されます。日ごろからの外遊びや運動の習慣は熱中症の予防にも役立ちます。危険防止を心がけて楽しい外遊びをさせてあげて下さい。

 紫外線は、肌表面の細胞を傷つけ、日焼けを作り、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。紫外線で遺伝子が傷害されても、自動的に修復されます。また、日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくする機能を持っています。急に強い紫外線は困りますが、日頃から外遊びをさせて紫外線や暑さに慣れさせて下さい。外で遊ぶときに帽子や涼しい衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で紫外線防御する必要はありますが、極端な紫外線対策は不要と思います。

 運動不足と間食の摂りすぎによる小児期の肥満は成人の肥満に移行します。空調の効いた快適な部屋でジュースやお菓子、ゲームやテレビ三昧の子どもが多くなり、「夏やせ」ではなく「夏太り」という状況に変わってきています。また、長時間のメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)も問題になってきています。屋外で遊ぶことはゲームやメディア漬けが回避され、本来の子どもの健全な状態になり、肥満も解消されます。ただ、肥満による悪い影響が出る程度は個人によって異なります。太っていることが大きな問題ではなく、脂肪によって生じる症状、障害が問題です。太っている人が必ずしも脂肪肝ではありません。



2014年 5月25日 放送
夏の食中毒


 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して毒素などを出し、発症しますので増殖(8時間から数日)してから発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その増えた毒素を食べての発症ですので食後数時間で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水、熱、低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。

2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。汚染されれば冷蔵庫に保存しても感染は防げません。便に血液が混入します。

3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。

4)腸管出血性大腸菌
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。乳幼児には生肉を食べさせないで下さい。

5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。食物の中で菌が増殖し、毒素が蓄積され発症しますので、食後1時間でも発症します。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。子供は重症化しやすいため、子供への生肉は止めて下さい。
 下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。



2014年 4月27日 放送
子どもの健康チェック


  もうすぐこどもの日です。自分の子どもの元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックしてみませんか。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。他人にも感染させにくくなります。ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンは生後2か月から開始。日本脳炎ワクチンは19歳未満が経過措置で無料。水ぼうそうワクチンは10月から1歳と2歳で無料になる予定です。有料ですが水ぼうそうやおたふくかぜなどのワクチンもあります。保育園や幼稚園を長期間休まれては困るなどの場合には接種して下さい。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子供が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。

 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあります。治療で身長が良く伸びる場合があります。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。

 女性はやせ体型が美しいとする考え方が思春期前の女性を摂食障害に追い込んでいます。やせ体型にも程度があり、個人差があること、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。



2014年 3月23日 放送
低身長


 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあります。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは止めてください。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。一般的に、身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、早く止まる子もいます。中学生や高校生になり、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。

 骨を伸ばすのはたんぱく質です。牛乳やサプリメントをたくさん飲んでも身長は伸びません。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。

 その子の体質のための低身長もありますが、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症などの子供の成長に欠かせないホルモンが不足する病気が原因の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。



2014年 2月23日 放送
子供の腹痛


子供の腹痛は便秘や下痢が原因のことが多く、急を要する病気は非常に稀です。「ウンチ」「オシッコ」に行きたい、「吐きそう」「筋肉痛」など色々です。「遊んでほしい」「しんどい」「行きたくない」「やりたくない」など体調不良や心因性が原因で腹痛を訴えることもあります。ストレスや欲求不満など子どもが嫌うことや不安に感じること、家族や友人との人間関係なども考慮してあげて下さい。小学生の高学年では起立性調節障害(血圧の調整うまくいかず朝の体調が悪く、朝起きられない)という病気のこともあります。現在、流行している嘔吐下痢症でも腹痛を伴います。

 顔をしかめたり、体を前屈する姿勢をとる場合は腹痛が強烈ということを示しており、早急に小児科専門医を受診して下さい。一般的には@おなかを手のひらでさすってあげることで本人は納得し、痛みが消失することがよくあります。どこか痛い部位があればさすってあげることで痛い部位に手のひらが触れて顔をしかめたり痛みを強く訴えますので、小児科を受診するかどうかの目安にもなります。Aトイレに座らせて排便をさせ、便の状態をチェックします。便秘や下痢による腹部の痛み、トイレに行きたいという不快感を腹痛として訴えることが多く、トイレで排便さすか浣腸で便を出してあげれば痛みは消失します。便をチェックして下痢や便秘などの状況や、便の色や臭い、粘液や血液の付着状況なども見て下さい。排便でも治らない場合や便の性状が悪い場合は小児科専門医を受診して下さい。

 いつもの「ポンポンが痛い」だからなどと子供の訴えを無視しないで下さい。忙し場合は短時間でも結構ですから、お腹をさすってあげたり、話を聞いてあげたりして下さい。子供は何かを訴えようとしています。



2014年 1月26日 放送
子どもの癖


 子どもの癖には色々ありますが、問題となるものに、指しゃぶり、爪噛み、チックなどがあります。気にはなりますが、無意識でしているので、叱ったり指摘すると余計に意識して逆効果です。幼児期では「まずは放置」が原則です。

1、指しゃぶり
 赤ちゃんには乳首が唇に触れると吸い付くという本能があります。この本能による行動をうまく子育てに利用しようとする道具が「おしゃぶり」です。指を吸うのはおしゃぶりと同じです。おしゃぶりは本能に基づくもので、子どもをあやす知恵です。子どもの心の安定は良いことですので無理に止める必要はありません。1歳代の子どもでは約半数、6歳で約10%と年齢と共に減少してゆきます。

 3歳頃までは永久歯は正常ですが、4歳以上になると顎の骨格にも影響を及ぼし、永久歯に咬み合わせの不整をおこさせる可能性が出てきます。歯科的に影響が出ている場合は止めさせる努力が必要です。

2、爪噛み
 深爪が特徴です。学童期は20〜30%の子にみられます。軽度の場合は止める必要はありませんが、指先に傷が出来るほどは困ります。子どもと爪噛みによる指への影響について話をする必要があります。

3、チック
 頻回にまばたきをする、肩をピクピクさせるなど、意味のない動作が無意識に繰り返し出現する症状をいいます。咳払いを繰り返す、「ウッ」「チェ」などの言葉が出る音声チックもあります。7〜11歳頃の男児に多いとされています。生まれつき生じやすい子が、不安や緊張、欲求不満など心理的ストレスが引き金となり出現する可能性が指摘されています。干渉しなければ数か月で自然に治ることも多く、あせらず、子どもの気分を発散させて緊張感を取り除くことを心がけて下さい。長く続く場合でも多くは思春期後半までに消失するか、残っても軽い動きの目立たない軽度の動きのチックにまで症状が落ち着くようになります。




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