令和7年11月20日


 寒くなりました。A型のインフルエンザが流行しています。このA型はもうすぐに落ち着くと思いますが、あと1つのA型やB型が流行すると思います。その他では、軽症で治る嘔吐下痢症や夜に咳き込む風邪の流行もまだ続いていますし、症状が発熱だけの風邪、のどの痛みを訴える風邪、鼻水の強い子、細気管支炎などもあります。

 インフルエンザワクチンは大きな子や大人は1回、小さな子は2回の接種になります。2歳〜19歳未満の子どもで鼻腔に入れるは経鼻インフルエンザワクチンも使用できます。

インフルエンザはウイルスと接触後1〜3日で発症し、治療にはタミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなどが使われますが、発症早期に治療を開始したほうが効果はありますが、タミフルは美味しくありませんので、服用を拒否する子もいます。治療することで発熱期間などが短くなりますが、薬を使用しなければならないわけではなく、使用しなくても自然に治ります。

 小児では高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)による異常行動が生じやすくなります。発熱時に、壁に向かって一人でしゃべる、一人で笑う、叫ぶ、恐怖の対象から逃げようとするといった行動が時々見られます。これは脳症ではなく、熱せん妄といわれる状態です。高熱になると小児では神経系が未熟なため、熱せん妄という異常行動が生じやすく、神経系の成熟に伴いおこらなくなってきます。幻覚の内容によっては恐怖で走り出す場合もありますので怪我をしないように注意して下さい。また、幻覚が1時間以上続く場合は脳炎との鑑別が必要ですので、小児科がある病院を受診して下さい。

 ボルタレンやポンタール、アスピリンなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もあります。注意が必要です。脳症は意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気ですが発生は非常に稀です。解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。

 熱傷(やけど)に注意が必要な季節になりました。熱傷では出来るだけ早く冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えます。冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やして下さい。こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも皮膚の同じ場所に長時間熱が加えられると低温熱傷が生じますので、直接皮膚に触れないようにして下さい。

 あまり動かない赤ちゃんや小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、低温熱傷以外にも脱水症や熱中症になる可能性があります。 




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