令和7年12月19日


 寒い日が続いています。A型のインフルエンザの流行が落ち着きかけています。このインフルエンザは吐き気を伴う傾向がありました。現在はA型に加えてB型のインフルエンザが出始めていますし、あと1つのA型やB型も流行する可能性があります。その他では、軽症で治る嘔吐下痢症や夜に咳き込む風邪の流行もまだ続いていますし、症状が発熱だけの風邪、のどの痛みを訴える風邪、鼻水の強い子、細気管支炎などもあります。

 現在流行中の嘔吐下痢症は腹痛や嘔吐が主症状で下痢を伴わない場合が多くなっています。嘔吐は1日程度で治まりますが、下痢を伴う場合は4〜5日間続きます。ノロウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、パレコウイルスなど、多くのウイルスが原因となりますが、これらのウイルスを抑える薬はありません。水道水での手洗いが基本ですが、消毒用アルコールは効果が不十分で、ミルトンやキッチンハイターなどの塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上の加熱、紫外線がこのウイルスの消毒に有効とされています。

 小児では高熱が出ると熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)による異常行動が生じやすくなります。発熱時に、壁に向かって一人でしゃべる、一人で笑う、叫ぶ、恐怖の対象から逃げようとするといった行動が時々見られます。これは脳症ではなく、熱せん妄といわれる状態です。高熱になると小児では神経系が未熟なため、熱せん妄という異常行動が生じやすく、幻覚の内容によっては恐怖で走り出す場合もありますので怪我をしないように注意して下さい。また、幻覚が1時間以上続く場合は脳炎との鑑別が必要ですので、小児科がある病院を受診して下さい。

 厚着の子を見かけますが、一般的には生後2か月頃までは大人より1枚多めの服装、その後は大人と同程度、生後6か月頃以降は大人よりも1枚少なめと言われます。薄着を心がけてください。一般的に、子どもにヒートテックのような下着は不要と思います。特に乾燥肌の子では皮膚の乾燥が強くなったり、痒みが強くなる場合がありますので注意して下さい。

 あまり動かない赤ちゃんや小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、低温熱傷以外にも脱水症や熱中症になる可能性があります。

 頻繁な手洗いのために手荒れの子を見かけます。子どもは手洗いの後の手拭きを丁寧にはしませんので、空気が乾燥していることもあり、手が荒れます。保湿剤による手の保護をお願いいたします。頻回すぎる手洗いは手の皮膚を傷めます。また、手足を濡れたまま放って置くと気化熱により皮膚の表面温度が下がり、凍瘡(しもやけ)になりやすくなります。手足が濡れたら、早く、しっかりと拭き取って下さい。心配な気持ちはわかりますが、過剰な手洗いまでは不要と思います。




Copyright © こばやし小児科 All Rights Reserved.

PAGE TOP