ヒトは100兆個以上の細菌と共生し、毎日大量の細菌を食べていても病気にはなりませんが、稀に食中毒を起こしやすい細菌があります。
腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。
1、原因
1)腸炎ビブリオ
夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。
2)カンピロバクター
鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。
3)サルモネラ
卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。
4)腸管出血性大腸菌(O‐157など)
牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。
5)黄色ブドウ球菌
調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。
2、対策
食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。
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