2025年 4月27日 放送
低身長

 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、周囲からの精神的なサポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が過ぎて、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。身長の伸びは個人差が大きく、早く止まる子もいますので、「その内に伸びる」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、平均身長からどの程度低くて、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。

 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。

 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。

 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。






2025年 3月23日 放送
夜尿症(おねしょ)

 毎晩の夜尿は小学生でも数%と多いのですが、年齢が進み、身体の発育に伴う膀胱容量の増大に加え、睡眠リズムの安定に伴う夜間尿量の減少で夜尿は無くなって行きます。暖かくなると、汗や皮膚から蒸発する水分が増えますので、尿量が減少して夜尿は少なくなります。

 膀胱が小さいために夜中に十分な蓄尿ができず漏らしてしまうタイプでは身体の発育に伴って治りますし、睡眠中の尿の量が多すぎるため夜尿となるタイプでは、尿量を減少させる作用のあるホルモンの分泌機能の未熟さが原因ですので、このホルモンの夜間分泌機能が成熟してくると治ります。ほとんどの子が両方の要素を持っています。

 生活では@しからず、Aあせらず、B起こさずが原則です。@無意識に尿が出ますので、しかられても本人はどうしようもないのです。A未熟な機能が身体の発育と共にゆっくり発達してくるのを待つ必要があります。B子どもの健全な発育・発達には十分な熟睡は大切です。夜中に起こして排尿させるという方法は、睡眠リズムを崩し、熟睡やホルモン分泌に影響しますし、夜間の膀胱容量も大きくなりません。夜中に起こして排尿させる方法はなるべく避ける方が良いと思います。

 機能の発達は待つしかないのですが、夜間の尿量の減少や排尿抑制機能を高めることは可能です。@食事や飲水の水分は3、4時間で尿になります。入眠4時間前から水分を制限し、入浴後の飲水も控えて下さい。A塩分を多く摂ると尿量が増加し、のどが渇きますので水分摂取が増えます。夕食は薄味でお願いします。B病気の場合を除いて、昼間に尿意があった場合に可能な限り我慢して膀胱容量を大きくします。これらの対応でも効果が得られない場合に薬を使用します。小児科専門医にご相談下さい。






2025年 2月23日 放送
薬嫌いへの服薬

 水薬しか飲んでくれない子、水薬は飲まない子、どのような薬でも飲まない子など薬嫌いも色々です。

 一日3回食後という表現が使用されますが、満腹の時はなおさらまずい薬を嫌がります。食後という1日3回の間隔が服薬のタイミングとして良く、忘れにくいというメリットから慣用的に用いられております。特殊な薬以外、@子どもでの空腹時服薬は問題はありません。水で服用以外にも、A少量の牛乳、練乳、ジュース、スポーツドリンク、アイスクリーム、ヨーグルトなど好む飲み物や食べ物に混ぜることも特殊な薬以外は可能です。混ぜる際には一部にのみ混ぜて、最初にまずい薬の部分を食べさせた後はおいしい残りを食べさせます。ただ、マクロライド系抗生剤の一部などではジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなどに混ぜると薬のコーティングがとれ、苦みが逆に増強される薬があります。また、ミルクなどの主食や主食に近い食品に混ぜることは、主食嫌いになると困りますので、避けたほうが無難です。Bスプーンや乳首で飲ませたり、スポイトなどで少量ずつ流し込む方法や、C粉薬を数滴の水で練ってペースト状にして頬部の口腔粘膜に塗りつけた後に水分を飲ませる方法もありあります。D冷たくした方が飲みやすくなります。アイスクリームを使用したり、時には薬を少量の水と混ぜて凍らせてシャーベット状にする。E薬をオブラートで包み込んで飲ませる方法。F服薬補助ゼリーではゼリーに薬を混ぜるのではなく、ゼリーの上に薬を置きさらにその上をゼリーで包むようにして使用します。粉の薬を少量の水でペースト状に練ったものをゼリーで包むと利用しやすくなります。特別なごく一部の薬を除き、薬は決められた時間ごとに飲ませないといけないほどの厳密さはありませんし、夜間に効果を出したい場合は寝る前に服用させて下さい。






2025年 1月26日 放送
かん虫、第一反抗期

 子どもはかわいいのですが、正解のない育児では多くの不安や困難を伴います。子育て中の友人や小児科専門医に相談して下さい。かん虫も反抗期もほとんどの子に出現しますし、特別な薬や対処法はありません。

 赤ちゃんが泣きやまない、夜泣き、食べない、すぐ不機嫌になるなど親が困る、大人の思うようにならないことを「かん虫」と表現します。赤ちゃんも思うようにならなければ腹が立つはずです。自我が芽生え、腹が立つことを覚えると「かん虫」が出てきます。子どもがうまく成長している証拠です。

 2歳頃になると走ったり、言葉を理解したり、行動の幅が広がると同時に、自分で出来ることに喜びを感じるようになります。色々な事に兆戦し、他人が手伝うと「自分で、自分で」と怒ります。急いでいるのにこれをされると、こういった時期だとわかっていても、理性と感情は別で、我が子ながら腹が立ってきます。

 自己が強く出始め、大人のいう「反抗期」です。ただ、子どもは反抗しているのではなく、騒いではいけない場所や急いでいるとか子どものためにという大人の都合や考えを理解できていないだけです。あと数年間はこういう時期だと諦めて下さい。

 出来なかったことに挑戦し、努力します。親にほめられたり、認められることを喜びます。能力がつき、失敗をすることで耐える能力が身についてきます。甘やかしすぎたり、制限のない自由奔放は困ります。悪いことや危険なことには叱る必要があります。善悪の判断をゆっくり教えてあげて下さい。これらの体験を通じて衝動にブレーキがかかり、忍耐力が身に付いていきます。

 子育て支援のための商品を十分に活用し、自分の生活も楽しみながら子どもを信じ、自信を持って自分たちの現実でのベストの子育てを模索していって下さい。








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