2026年 4月26日 放送
低身長

 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、周囲からの精神的なサポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が過ぎて、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。身長の伸びは個人差が大きく、早く止まる子もいますので、「その内に伸びる」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、平均身長からどの程度低くて、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。

 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。

 骨を伸ばすのはカルシウムではなく、たんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。

 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。






2026年 3月22日 放送
こどもの貧血

 血液中の赤血球や赤血球内のヘモグロビンという酸素を運ぶたんぱく質が減少した状態で、肺で取り込んだ酸素を体内に運ぶ力が低下し、全身の代謝が低下してエネルギー不足が生じます。乳幼児では極端な貧血が3か月以上続くと精神や運動の発達が遅れる可能性が指摘されています。

 顔色が青白く、唇や爪などの色も白っぽくなり、元気がなく、軽い運動でも動悸や息切れがし、立ちくらみなどの症状が出ます。

 主な原因は偏食による鉄分の不足です。乳児では離乳食が極端に遅れた場合、幼児以降では偏食で鉄分やたんぱく質摂取の少ない子に貧血がみられます。牛乳には鉄分が少ししか含まれていませんので、牛乳を大量に摂取して食事量が少なくなると貧血になります。乳児期や思春期では成長が急激ですので、たんぱく質や鉄分の必要性が増します。長時間走ったりジャンプしたりすることによる筋肉内や足底血管内の赤血球破壊が原因でおこるスポーツ貧血もあります。また、思春期以降の女子では月経出血もありますし、やせ願望による無理なダイエットでは強度の貧血になります。

 鉄分は赤身の肉や魚の血合いに多く含まれます。鉄分は肉や魚などに含まれるヘム鉄と穀物や野菜などに含まれる非ヘム鉄に分類され、非ヘム鉄は腸管からの鉄の吸収率はよくありませんが、ヘム鉄やビタミンCとの摂取で吸収が促進されます。食事では肉や魚、野菜、果物を一緒に摂取するバランスの良い食事が鉄欠乏性貧血を予防しますし、治療にもなります。食事療法でも改善しない場合や強度の鉄欠乏性貧血では鉄剤を服用します。食事では鉄分の過剰状態にはなりませんが、薬やサプリメントの過剰摂取では、頭痛、食欲不振、肝機能障害、皮膚の黒ずみなどの副反応が生じますので注意が必要です。






2026年 2月22日 放送
感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)

 一般的に頻回の嘔吐が出現します。潜伏期間は1〜3日で、嘔吐は1日程度で治まります。下痢は淡黄色の水様便になることが多く、4〜5日間続きます。現在流行中の嘔吐下痢症は軽症で、下痢を伴わない子もいます。

 ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、パレコウイルスなど、多くのウイルスが原因です。それぞれタイプが多数あり、毎年かかりますし、一冬に数回かかることもあります。これらのウイルスに効果のある薬はありません。

 患者の吐物や下痢便中にウイルスがあり、これらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。吐物や便を触った後は石鹸を使い水道水で手洗いを十分して下さい。消毒用アルコールは効果が不十分で、ミルトンやキッチンハイターなどの塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上の加熱がこのウイルスの消毒に有効とされています。乾燥するとウイルスが空中に広がりますので、吐物や便を濡らした新聞紙などで直ぐに覆い、きれいに拭き取って下さい。

 嘔気のある間だけは食事を止め、20〜30mlのイオン飲料水やお茶を時間を空けて与えて下さい。その後徐々に1回量を増やし、十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。食事は腸の回復を助けます。

 下痢が続きますので、牛乳や乳製品、ジュースなどは中止して下さい。吐気がなければ消化の良い食事は欲しがるだけ与えて下さい。下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。ひどい嘔吐には嘔吐止めを使用します。嘔吐がなく軽度の下痢であれば通園や通学は可能です。






2026年 1月25日 放送
清潔な皮膚

 皮膚には肌の水分を保持し、外部からの異物の侵入を防いでいる表皮と皮脂膜によるバリア機能があります。また、皮膚表面の多くの常在菌のバリアが病原菌から肌を守っています。これらの皮膚バリアが壊れてしまうと、皮膚に異物が侵入してきますし、肌にある水分は蒸発しやすくなります。スキンケアや栄養、生活習慣も含めた対策で皮膚のバリア機能を維持することが重要です。

 良い皮膚の状態とは、常在菌がバランスよく存在して、皮脂が常在菌で処理されて弱酸性の皮脂膜で皮膚が覆われ、アルカリ性を好む病原菌が繁殖しにくくなった状態です。頻回に洗う、ゴシゴシ擦る、洗浄力の強い洗浄剤を使うなどの過剰な洗浄では皮膚常在菌が失われ、弱酸性の皮脂膜が洗い流されてバリア機能が弱まります。健全な皮膚常在菌を育てて健全な皮膚環境を作るためには、洗い過ぎない事が大切です。

 普通の石鹸や洗浄剤は弱アルカリ性ですが、水道水で流しますので、皮膚はすぐに弱酸性に戻ります。弱酸性の洗浄剤は洗浄能力が弱いものが多く、普通の子では香料などを含まない普通の石鹸(小さな子ではベビー石鹸)で良く、その後に十分に流すことが大切です。

 手洗いが奨励されていますが、頻回の手洗いでは手が荒れますし、アルコールによる手洗いでは常在菌の多くを殺します。皮膚が荒れた常在菌の少ない部位には病原菌が増殖しやすくなります。汚れや汚染物などで手が汚れていれば丁寧な手洗いは必要ですが、遊具や家具を触った程度での手洗いまでは不要と思います。

 一般の細菌やウイルスの刺激でヒトの身体や免疫状態が健康に保たれています。清潔にし過ぎると身体や免疫力に弊害が出ます。











Copyright © こばやし小児科 All Rights Reserved.

PAGE TOP